春の全道大会、北海―旭川実の決勝。4―4で迎えた九回表、北海の3番打者・桜井悠也選手(3年)のライナー性の強い打球はショートの頭を越え、三塁走者が生還した。決勝打を放った桜井選手は試合後、「冬から続けてきたウェートトレーニングの成果が出た」と話した。
北海は夏の甲子園に全国最多40回の出場を誇る強豪だ。
桜井選手の優勝を決めた強い打球のように、ここ一番で結果が出せる体づくりに興味が湧き、地区大会の2週間前、同校を訪ねた。
強豪・北海は年間を通し「がっつり筋トレ」
立島達直部長(35)は「うちは公式戦の期間中もがっつり筋トレしていますよ」と明かす。体づくりを優先する冬場だけではなく、年間を通してウェートトレーニングなどの筋トレを採り入れているという。
放課後、グラウンドの隣のトレーニング室に、1年生部員20人以上がひしめいていた。北海の新入部員はこの時期、部位をローテーションで変えながら週5日の筋トレをして、この先の屋外練習に耐えうる体をつくる。この日は、スクワットやデッドリフトなど基本的な下半身のウェートトレーニングと、バーベルや重りを使った上半身のトレーニングの計6種類。
上半身では、軽めの重りを手に持ち、秒数を計りながら一定のペースで上げ下げを繰り返した。北海の筋トレを10年ほど指導する山際雄也トレーナー(46)は、その狙いを「正しい動きを身につけること」と説明する。
「(バーベルを)体から離さない」「踏み出す脚を開かないように」。1年生たちは山際トレーナーの指導を受けながら1時間ほど汗を流した。
入れ替わりでグラウンドでの練習を終えた2、3年生約20人が集まってきた。泥だらけの練習用ユニホーム姿は、1年生よりもがっしりとした体格をしている。
2、3年生の筋トレは強度や量が変わる。下半身のウェートトレーニング以外に、ジャンプやステップなどを組み合わせて、重りを素早く動かすようなメニューがあった。山際トレーナーは「野球の動きに結びつく、爆発的なパワーやスピードが身につく練習」と教えてくれた。
佐藤瞭磨主将(3年)は、入学まで本格的な筋トレは未経験だったが、きつさには次第に慣れたという。「できるようになると、重量の設定や回数が上がる。終わりがないから、ずっときついのは変わらない」と佐藤主将。
練習の様子を見守っていた立島部長。走り込みなどその他の練習も含めての体づくりというが、「特に筋トレには部の姿勢がわかりやすく反映されている」と話す。
「どんなときでもシンプルに、正しく、今できることを全力でやりきること。筋トレ以外でも、試合中にカバーリングで走りきることもそう。高校野球の魅力であり、社会に出た後も役に立つことですよね」
北海は12日、南北海道大会の1回戦で立命館慶祥と対戦する。
■高校野球は筋トレの「インパ…