
50代独身の「あつこ」さんは、2年前から両親と同居している。
きっかけは、当時あつこさんが住んでいたマンションの建て替え。
それまで、80代の両親宅を定期的に訪ねて、買い物や通院のサポートをしていた。
こうした生活の大変さに加え、自分がそばにいた方が安心できるのでは、という思いがあった。
折しも持ち上がった、マンションの建て替え話。
「これも一つのいいタイミングだ」と同居を決めた。
大変だったのは、引っ越すにあたって荷物を減らすこと。
マンションは3DKだったが、実家で自分が使えるスペースは6畳一間。
片付けを重ね、なんとか引っ越すことができたが、新たな課題が見つかった。
実家にある服や靴、使われないまま飾ってある食器類。
自宅で編み物教室を開いていた母の作品や毛糸など、大量のものがあったのだ。
手放すのが苦手な母にとって、ひとつひとつに思い出が詰まっていることはわかっている。
それでも、何とかしなければ。
人生の折り返し地点にさしかかり、実家で切った新たなスタート。
まずは、片付けから始めることになった。
母の変化を感じた出来事
母は穏やかで、いつも家族のことを考えながら生活してきた人だ。
誰かを嫌うことがほとんどなく、悪口を言うのも聞いたことがない。
家事をこなしながら、子どもたちを遊園地や動物園にも連れていってくれた。
編み物教室でも、生徒さんたちと楽しそうに笑い合っていた。
そんな母と片付けを進めるなかで、「家の中をすっきりさせたい」という思いがあることは、感じていた。
でも、リサイクルや寄付が難しそうな品物も、「取っておく」と言うことがあった。
母なりの理由があって取っておきたいのであれば、無理に処分はできない。
いったん保留して、できるところから片付けを進めていった。
ある日の午後、母の変化を感じた出来事があった。
あつこさんが飲み物を取りに…



