3年前の夏、ゆうちょ銀行の松本舞さん(49)は猛暑の中、汗を拭きながらアフラック生命保険を訪ねていた。企業内がん経験者コミュニティーの先駆けである担当者に話を聞くためだ。
松本さんは6年前に乳がんと診断された。手術と放射線、抗がん剤の治療は、在宅勤務などの会社の制度を使って、できるだけ休まずに受けた。治療の影響で髪の毛が抜け、ウィッグをつけたが「子どもと一緒にいると、私がお母さんではなくおばあちゃんと間違われるくらい見た目が変わってしまった」。ウィッグで出社もしたが、周囲の人が話しかけづらそうにしているのを感じた。
病気を打ち明けると、どう返答すればいいのか戸惑うような雰囲気を感じた。周りに同じような境遇の同僚がおらず、孤独感を覚えた。
乳がんは、女性の9人に1人程度がなると言われる。ゆうちょ銀行の従業員数は1万人超。「自分と同じような思いをしている人はほかにも絶対にいるはずだ」。同じ経験をした人が身近にいれば、こうした孤独感が和らぎ、共感もしあえるのでは。そう考え、社内にがん経験者のコミュニティーを作ろうと考えた。
だが、がん経験者を見つけられなかった。
「入社して18年。それなりに知り合いもいるのに」。人事部に聞くわけにもいかない。もうあきらめてしまおうか。
そんなときにがん経験者コミュニティーの先輩企業に話を聞きに行くことを思いついた。活動の様子を楽しそうに話してくれるアフラックの担当者に「コミュニティーを立ち上げたくても人が集まらない」と打ち明けた。
企業内にがん経験者のコミュニティーをもうける取り組みが広がっている。発足のいきさつや活動の形は様々だが、治療と仕事の両立への土壌作りに役立っているという。取り組みを表彰する「アワード」も創設された。
社内で見つかった仲間、広がった輪
同じく企業内がん経験者コミ…


