
この社説のポイント
●「副首都」の指定要件を盛り込んだ政令を政府が決定。要件を満たすのは北海道、愛知、大阪、福岡の4道府県
●連立与党が提案した副首都法の国会審議では、指定への基準と手順に批判。政令の決定では、与党の答弁「副首都は数カ所」に合わせたかのような検討過程も
●このまま手続きを進めるべきではない。「防災」の目的に立ち返り、修正が必要だ
自民党と日本維新の会の連立与党が国会に法案を提出、成立した副首都法で、具体的な指定要件を定める政令を政府が決定した。要件を満たすのは北海道、愛知、大阪、福岡の各道府県で、この四つから複数が指定される。
副首都の検討は、首都直下地震や富士山噴火に備える「防災」が出発点だったのに、具体的要件に災害関連の項目がない。副首都が南海トラフ地震などに直撃される事態を考えなくてよいのか。
法の施行後1年以内に政府が基本方針をつくるというが、副首都が担う機能を詰めた上で適地を決めるのが当然の手順だ。指定要件の議論が先行するのは順番が逆だ。
国会審議では野党からこんな疑問や批判が相次いだが、与党側は説得力のある説明ができないまま、早々に「副首都は数カ所」と答弁した。政令の決定では、答弁に沿ったつじつま合わせのような過程も垣間見える。このまま手続きを進めるべきではない。

副首都は、首都圏の1都3県を除いた地域が対象で、申請により道府県単位で指定する。事実上、政令指定市があることが前提だ。首都機能の代替に加え多極分散型経済の拠点とするため、国の出先機関の立地や経済、人口について一定の規模が必要とした。
示された基準はこうだ。
計28ある出先機関に関しては、半数の14が一つの市内にあること。該当するのは札幌、仙台、名古屋、大阪、広島、福岡の各市で、副首都候補は6道府県になる。
人口については、指定市が「都道府県並み」の規模を持つこと。最多の東京都と最少の鳥取県の真ん中にあたる鹿児島県並みの150万人が基準とされた。仙台、広島両市は満たせず、副首都に意欲を見せていた宮城、広島両県は対象外となった。
関係者は「100万人にすると申請が増えすぎるし、200万人だと対象が限られる。中央値(の150万人)がちょうどよい水準になった」と話す。
道府県に求めた経済の要件は、国内総生産の47分の1。人口でも同様に計算すると約260万人で、副首都候補は大阪府だけになる。参院が法可決時の付帯決議で「複数の指定が前提」としたため中央値を採用したというが、国会答弁の時点で、根強い「大阪ありき」批判をかわす狙いが透けて見える。
基本方針の策定に向けて、政府は防災や経済、インフラなど幅広い分野の専門家から意見を聞くという。原点の「防災」に立ち返り、根本から修正をはかる必要がある。
- 「副首都」の要件を閣議決定 事実上4道府県に絞り込み、疑問の声も
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