昨年の「春の甲子園」でアルプススタンドに立ったとき、市立尼崎高校(兵庫)吹奏楽部の副田(そいだ)稀々奏(ののか)さん(3年)は、野球のルールも知らなければ、スポーツの観戦をしたこともなかった。
けれど、同年代の選手が大観衆の前でプレーする姿に心を奪われた。ボールの行方に見入ってしまい、「指揮を見ろ!」と注意されるほどに。
アルプスの夏音
高校野球の応援の演奏をめぐる物語
甲子園にやってくる沖縄代表校の応援を担ってきた「市尼」の吹奏楽部。今年、その部長となった副田さんは「パワーアップした演奏」を目標に掲げる。
昨春は相手校のアルプスから飛んでくるトランペットの高音に「のまれてしまった」との思いがある。
「サウスポー」や「ルパン三…