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和解が成立し、新年度も助教として教壇に立てることになった女性=2025年3月26日午後1時22分、宮崎市、奥正光撮影

 宮崎産業経営大学法学部(宮崎市)の助教の女性と夫の教授が、職場結婚した直後に雇い止めを通告され、懲戒処分を受けたなどとして大学側を訴えた訴訟の和解成立を受け、助教の女性が26日、宮崎市で記者会見した。「今回の件で、女性のキャリアをいま一度考えていただくきっかけになれば」と述べた。

 和解は3月21日に成立した。大学側は雇い止めのほか、女性の配置転換や夫の降格などの処分を撤回。2人は4月以降も処分前の立場のまま勤務を続けることが確認された。

 女性は会見で、「今回の問題提起は氷山の一角だととらえている。世の中には何らかの理由で働けない女性や、出産・結婚・子育てによって不利益を受けながら働く女性が多くいると思う」などと指摘。教え子の学生が呼びかけた雇い止めの撤回を求めるネット署名について、「何よりうれしく一番の心の支えになった。4月からも教壇に立てる喜びをかみしめて仕事をしたい」と述べた。

 大学側は和解を受けて、「県内唯一の法学部を擁する大学として、在学生に対し今後も引き続き良質な教育を提供できるよう、すべての教職員、とりわけ女性の教職員の良好な就労環境を整え、2人の教職員の協力も得て、健全な大学運営を行ってまいります」とするお知らせをホームページに掲載している。

 助教の女性と夫の教授は2024年7月に婚姻届を提出。夫が学長に報告したところ、女性は2024年度末での雇い止めを通告された。さらに2人は今年2月、戒告の懲戒処分を受け、女性は助教から事務職員への配置転換、男性は准教授への降格を通知された。2人は大学を運営する学校法人などに地位の確認を求めて宮崎地裁に提訴していた。

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