
「日本万博全史」(左右社)が昨年、出版された。本のなかでは、1970年の大阪万博後に兵庫県内に移設され、現在も使われているカンボジア館や、その設計者が母国の内戦の影響を受けた歴史も紹介されている。万博とは何なのか、読者に問いかけている。
著者はノンフィクションライターの夫馬信一さん(66)=東京都杉並区。近現代史が専門で、万博や64年の東京五輪に関する著書がある。戦後日本の社会インフラの整備が万博などの大規模イベントと密接に関わってきたことを踏まえ、「万博を語ることは、日本の戦後の歴史や経済そのものを語ることにつながる」と約10年の取材のすえ、執筆した。
カンボジア館については、「万博遺産を追え」と題された章で紹介されている。設計を手がけたのはカンボジア公共事業運輸省の住宅・都市計画部部長だったウク・ソメス氏という。夫馬さんは在大阪カンボジア王国名誉領事館を通じるなどして本人に取材した。「素直に当時のカンボジアの社会現状と暮らしのそのままを見せたいと思いました」と語ったという。
大阪万博開幕直後の70年3月18日、国家元首シアヌークの外遊中に、親米の将軍ロン・ノルらがクーデターを起こし、シアヌークは追放された。
夫馬さんは本のなかで、翌19日のカンボジア館の様子を当時の朝日新聞の記事を参考に紹介。当日はカンボジア館が日本の皇太子夫妻(当時)を迎える日だったことや、開館予定時間になってもシャッターが閉まったままだったこと、館内には依然としてシアヌークの写真が飾られていたことなどを臨場感を持って伝えている。
カンボジアが内戦に陥るなか…
















