
この社説のポイント
●代表質問への答弁でも、消費減税の財源や支援金の具体像は示されぬままだ
●資質に欠ける簗農水相の続投を明言した高市首相の責任は極めて重い
●このまま国会を「効率化」すれば熟議は遠のく。真摯な説明から始めるべきだ
今国会の論戦が始まった。高市早苗首相の所信表明演説は、消費減税の財源を明示しないなど、国会に審議を求める前提を欠くと先日の社説は指摘した。各党の代表質問への首相の答弁でも、補われてはいない。審議を充実させるには、まず政府側が正面から疑問に答える必要がある。
首相は、物価高対策としては給付の方が有効では、という野党議員の質問に、食料品の消費税引き下げと所得に応じた支援金の組み合わせが「十分性と迅速性の観点から最善の方法だ」と反論した。
具体論なくして説得力なし
ただ、2年間で10兆円規模となる財源を赤字国債に頼らず確保することについては、「租税特別措置、補助金、基金の見直しなど、歳出・歳入両面の見直しで確保する」と一般論で語るのみ。
首相は所信表明の「ご心配に及ばない」に続き、「社会保障財源に穴があくことにはならない」と言い切ったが、具体的にどの項目でいくら削れるのかが示されなければ、到底説得力はない。減税措置や補助金を見直す日本版DOGE(ドージ)の成果見通しを聞かれ、「具体的な削減額は予断できない」というのだから、なおさらである。
支援金の対象や金額など、具体的な制度設計についても、「予算編成過程で財源とともに示す」というだけで、政府に任せてくれと言わんばかりだ。国会軽視と言われても仕方あるまい。

簗農水相、国会議員の資質も疑われる
国会召集直前に明らかになった簗(やな)和生農林水産相の「予算カット」発言についても、代表質問初日は、簗氏の名前には触れず、「予算の配分にあたり、政治的な支持・不支持を持ち込まないのは当然だ」として、「適切な予算配分を徹底させる」と、一般論の形で述べるだけだった。
2日目に重ねて追及を受けると、「発言は不適切だと考え、厳しく注意した」と述べたが、「襟を正して職責を全うしてほしい。『働いて仕事で返せ』と言っている」と、続投させる意向を明言した。
自身を選挙で支持しなかった首長がいる自治体の道路予算を大幅にカットしたという発言は、国土交通省への働き掛けがなかったとしても、国の予算を私物化し、行政の公正性に疑念を抱かせる。閣僚はもちろん、国会議員としての資質も疑われる。にもかかわらず続投を決めた。首相は極めて重い責任を負った。
国会の「効率化」をいう前に…
審議の充実は、政府の的確な答弁が前提となる。首相のその場しのぎを許したまま、「効率化」を進めれば、熟議は一層遠のく。国会改革を語るなら、真摯(しんし)な説明を尽くすところから始めるべきだ。
- 【社説】予算カット発言 簗大臣の資質を疑う 首相は続投させるのか
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