
この社説のポイント
●比例31減への修正は人口減を反映したというが、理念も哲学も感じられない
●国民民主は定数削減を恣意的な改変と批判していた。手のひら返しではないか
●選挙制度は民主主義の土台。野党1党の賛同のみで押し通してはならない
自民党、日本維新の会、国民民主党の3党が、衆院議員の定数を比例区のみ31削減する案で合意した。衆参両院で法案を可決・成立させる数はそろったが、選挙制度は国会の構成を決める民主主義の土台である。幅広い合意形成を放棄し、野党1党の賛同のみで押し通すのは許されない。
中政党の議席減、緩やかな自民案
自民、維新の両党が先の国会に提出した比例45削減法案は、野党そろっての反対で継続審議となった。今国会での成立をめざす自民はまず、削減幅を31に減らすとともに、比例区の議席配分方式を、現行より中規模政党の議席減が緩やかになる案を提示。国民民主が19減の対案を示すと、31削減は維持したうえで、国民民主の他の主張を受け入れ、賛同を得た。

議員定数の削減は民意を国政に届けるパイプを細らせる。人口比でみた日本の定数は他の先進国よりおおむね少なく、衆院議長の下に設けられた選挙制度調査会は2016年に「定数を削減する積極的な理由や理論的根拠は見出し難い」と結論づけている。
ましてや、大政党に有利で死票が多くなる小選挙区の欠点を補うために設けられた比例区のみの削減は、制度のバランスを崩すものだ。女性の当選者は比例区の方が多いことから、女性の政治参加が後退するとの懸念の声もある。

統一名簿と中国・四国ブロック統合
社説は、あるべき議員数は選挙制度改革の中で考えるべきで、先行して定数だけ削るのは順序が逆だと主張してきた。比例31減は人口減少を反映したものだというが、削減の実現ありきで、国民民主の賛同を得ようとしたもので、理念も哲学も感じられない。
自民は最終盤で、複数の政党の比例候補を同一の名簿に載せる「統一名簿方式」の導入と、比例区の中国・四国ブロックの統合を追加提案した。いずれも国民民主が主張していたもので、野党にとっても利点があるということだろう。支持取り付けのための場当たり的な対応にしか見えず、熟考された制度変更とはとても言えない。
国民民主も背負う共同責任
定数削減には世論の支持があり、国民民主には「対決より解決」を演出する思惑があるのだろう。だが、定数削減を自維の恣意(しい)的な制度改変だと批判していただけに、手のひら返しといわれても仕方あるまい。このまま成立に突き進むなら、重い共同責任を負うことになる。
そもそも定数削減は、自民がのめない企業・団体献金の廃止の代わりに、「身を切る改革」と称して打ち出したものだ。3党の利害と思惑を寄せ集めただけの制度変更は「改革」の名に値しない。

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