
「立ち止まって乗りましょう」と呼びかけられているエスカレーターですが、実際には片側に人が立って並び、片側を歩いているようすをよく見かけませんか? 業界団体が事故を調べると、前回の調査から件数が増えています。手すりにつかまり、安全な乗り方をするよう呼びかけています。(withnews編集部・山野拓郎)

「立ち止まりましょう」と言うけれど
記者が通勤で利用する駅のエスカレーターは、乗り口の床に「エスカレーターは歩かず、2列でご利用ください」と目立つように書かれています。
しかし、2列で利用している場面を見たことはありません。たいていの場合、左側に立ち止まって乗る人の列ができ、右側を急ぐ人が歩いていきます。
この夏、全国の鉄道事業者や自治体が参加し、「エスカレーターで歩かずに立ち止まろう」と呼びかけるキャンペーンが行われました。
キャンペーンでは、片側を空ける習慣について「左右いずれかの手すりにしかつかまることのできないお客さまにとって危険な事故につながる場合もあります」と呼びかけていました。
最も多い事故原因は「乗り方不良」
エスカレーターではどんな事故が起こっているのでしょうか。
一般社団法人日本エレベーター協会が5年ごとに行っている調査によると、2023年1月から2024年12月の2年間に協会の会員会社が確認したエスカレーターによる災害発生件数は2060件でした。前回の調査から510件増加していて、災害発生率も0.8ポイント増加しています。
事故が起きた原因を分析したところ、「その他」を除いて最も多いのは「乗り方不良」で484件。乗り損ない・降り損ないが316件、履物(ハイヒール・サンダル・くつひも)が217件、酔っ払いが144件でした。
乗り方不良とは、どんな乗り方なのでしょうか。
協会によると、「踏み段上を歩行する(エスカレーターで歩く)」「手すりを持たない」「他の利用者と接触する」「踏み段の黄色の線から足をはみ出す」「ながらスマホでエスカレーターを利用する」などによって事故が起きた事例があったそうです。
協会では、大人(16~69歳)と高齢者(70歳以上)で事故原因に違いがあるかどうかも調べました。
「その他」を除くと、両方とも原因で最も多いのは「乗り方不良」でした。
しかし、16~69歳は乗り方不良による事故が全体の18%だったのに対し、70歳以上では43%を占めました。
キャリーバッグやショッピングカートが事故の原因になっていたケースもありました。
事故の形態についてはどうでしょうか。
「転倒」「挟まれ」「転落」「その他」に分けて分析したところ、最も多いのは転倒でした。全体の約6割を転倒事故が占めているそうです。
事故が多いのは公共交通機関
調査によると、最も事故が多かった場所は、公共交通機関のエスカレーターで、2060件のうち951件を占めます。前回調査から217件増加しています。
公共交通機関以外では、スーパー・ショッピングセンター、複合ビル(事務所ビル含む)、デパート・百貨店の順に多かったそうです。
公共交通機関では「踏み段上での転倒」が「乗降口での転倒」より約1.6倍多く発生しています。
転倒防止には「歩かない」
日本エレベーター協会も鉄道事業者などと同様に、エスカレーターで歩かないよう啓発活動をしています。
エスカレーターで歩くと、バランスを崩したり、つまずいたりして、転倒するおそれがあります。また、他の利用者に接触して転倒させてしまうおそれもあるそうです。

エスカレーターに乗っている最中は、手すりにつかまって乗るよう呼びかけています。
手すりにつかまっていないと、利用中にバランスを崩したり、エスカレーターが急停止したりした場合に危険です。他の利用者と接触して転倒するリスクもあります。
エスカレーターの利用者の中には、左右いずれかの手すりにしかつかまれない人もいます。「片側空け」はマナーのように感じられることもありますが、協会では危険なのでやめるべきだと指摘しています。
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