移民が容疑者となった米首都での州兵銃撃を契機に反移民の姿勢をさらに強めるトランプ大統領が、事件と無関係な小さなソマリア系コミュニティーに矛先を向けている。突然標的にされたことで商業施設の客足は遠のき、「移民、黒人、イスラム教徒を狙った政治的な得点稼ぎだ」との声が上がる。

民主党の地盤、公金不正受給…標的材料に
「ソマリア人はミネソタ州から毎年何十億ドルも盗み、何の貢献もしていない。この国には要らない」「ゴミを受け入れ続ければ国は間違った方向へ進む」。今月2日の閣議で、トランプ氏は敵対的な発言を繰り返した。

中西部ミネソタ州ミネアポリス都市圏には、全米最大級のソマリア系コミュニティーがある。1990年代、母国の内戦を逃れた人たちが州西部の食肉工場で職を得たのを機に、雇用機会の提供など受け入れに寛容な土地柄が評判となり、移住の流れは都市部にも広がった。いまでは半数ほどが米国生まれとみられている。
人口約8万人のこのコミュニティーを、トランプ氏は以前から名指しで攻撃してきた。背景には、政権批判の急先鋒(きゅうせんぽう)として知られ、初のソマリア系連邦議員になった同州選出のイルハン・オマール下院議員(民主)への強烈な反発がある。トランプ氏は虚実入り交じる言説を繰り返し、彼女の強制送還にまで言及してきた。加えてミネソタは、昨年の大統領選でハリス氏の副大統領候補だったティム・ウォルズ氏を州知事とする民主党の地盤。少数派の支持が勝敗を左右しうる接戦州と異なり、ソマリア系の票に「政治的うまみ」がないことも、標的にされやすい理由だ。

さらに、2022年以降に明るみに出た、新型コロナ禍での子ども向け食事支援事業の不正受給事件が「追い風」になった。米紙ニューヨーク・タイムズによると、検察が訴追した86人の9割がソマリア系で、多くは米国籍者だという。民主党州政府を攻撃する格好の材料として、トランプ氏はウォルズ知事への侮辱を重ねている。
そんななかで起きたのが、11月下旬のワシントンでの州兵銃撃事件だった。容疑者がアフガニスタン国籍だったことで反移民キャンペーンが勢いづき、現場から1500キロ離れたミネソタへと飛び火。移民税関捜査局(ICE)はミネアポリス周辺で取り締まりを強めた。

高まる緊張、強い反発も
閣議から1週間後、ソマリア系の店が並ぶミネアポリス中心部の商業施設「カーメル・モール」は閑散としていた。3姉妹で服飾店を営む女性(45)は「ICEの取り締まりを恐れて客が外出を控え、商売にならない。大統領は何がしたいのか」と嘆いた。
一方で、昨年の大統領選でト…















