Smiley face
設置された自販機を初めて利用した生徒たち=2024年4月16日午前9時28分、名古屋市中川区、寺沢知海撮影
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 名古屋市中川区の八幡中学校に市立小中学校として初めて飲料の自動販売機が設置され、16日から利用が始まった。生徒が自ら署名を集め、市教育委員会に働きかけて実現した。自販機の運用方針は「自治」。利用ルールや飲料の種類も生徒たちで決めるという。

 「冷たくておいしい」

 16日朝、全校集会後に一番乗りで自販機を利用した高知希さん(3年)は、飲み物を口にして笑顔を見せた。

 熱中症対策などもあり、全国の中学校では自販機の設置が進む。だが、名古屋市では2000年に中学校で起きた5千万円恐喝事件の影響などで、生徒が現金を持参することへの懸念が強く認められてこなかった。

 状況を変えたのは、八幡中の生徒の行動だ。「水筒がなくなると生ぬるい水道水しか飲めない。衛生的で冷たい飲み物があるとうれしい」。2年前、こんな意見を持つ生徒3人が設置に向けて実行委員会を発足した。

 熱中症対策のほか、災害時には飲料の無償提供が受けられる協定を設置業者と結べる利点などを訴え、全校生徒や保護者の7割にあたる400筆以上の署名を集めた。

 昨年6月には、金銭やゴミの管理といったルールを守れない場合、「生徒自身で撤去する」とした要望書を市教委に提出。こうした生徒主体の活動が評価され、設置が認められた。

 市教委は今後、他校からも要望があれば積極的に設置を検討するという。(寺沢知海)

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