滋賀県近江八幡市でフリースクールを運営するNPO法人「Since(シンス)」が、夜の時間帯に無料で利用できる居場所を計画している。親が仕事で不在の間など、誰でも無料で利用できる「かかりつけ居場所」をめざす。4月30日まで、運営費をクラウドファンディング(CF)で募っている。
シンスは2020年、代表理事の麻生知宏さん(25)が滋賀大学教育学部4回生のときに仲間と設立した。昨年6月から近江八幡市安土町の民家に拠点を構える。
フリースクールとは別に、学生時代から児童相談所の夜勤のアルバイトをしていた麻生さんは、夜に孤立する子どもらを見てきた。
22、23年度に、公益財団法人から助成を受けて月2回ほど午後4~8時にナイトステイを開催。夕食を一緒に作って食べたり、科学実験などの体験学習を企画したり。2年間で約50回、延べ400人余りの小中学生が参加した。一方で、参加費として1回1千円が必要で、経済的な理由から利用を断念する子どももいた。
「学校に行っていても苦しさを抱えている子もいる。学校に行っている、行っていないや家庭環境にかかわらず、困ったなと思ったときに逃げ込める居場所をつくりたい」。そんな思いから麻生さんは、週1回、無料のナイトステイの開催を目指している。今年度中のスタートが目標。
夕食作りをはじめ、地域住民と交流して多様な生き方を学べるワークショップなどを企画する。麻生さんは「居場所はいくらあってもいい。たくさんの居場所を持つことで自己肯定感や前向きな感情につながる。学校と家庭以外の『かかりつけ』のような居場所を地域に耕していきたい」と話す。
スタッフの人件費や夕食の材料費など運営費250万円を目標に、クラウドファンディングを実施している。30日まで。詳細はREADYFOR(https://readyfor.jp/projects/since2024)で。返礼品にフリースクールの子どもがデザインした布製バッグなどがある。問い合わせは麻生さん(090・3729・6373)。(林利香)