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娘のために作ったお弁当=大森梨紗さん提供
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 19歳で娘を出産し、介護スタッフとして10年以上働いてきた大森梨紗さん(37)。

 2年前にオンラインショップ「accessory shop mary」を立ち上げ、輸入したアクセサリーを販売している。

 お正月に「よし、やるぞ!」と勢いで起業。

 きっかけは、難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)と5年間闘った父が残したパソコンだった。

 「父と意思疎通するための道具だったこのパソコンを使って何かできないかな?」

 そこで思いついたのが、大好きなアクセサリーの販売だった。

 娘を出産した1年半後に離婚し、シングルマザーになった大森さん。

 父は娘にとって祖父だったけど、ほとんど父親代わりだった。

お弁当を作り続けた6年間

 高校を卒業した娘は、4月から実家を離れて大学生活を始める。

 母から見た娘の性格は「信念を曲げない」。

 高校受験では「今の成績じゃ難しい」と言われた公立校に合格した。

 父親代わりだった祖父が亡くなったことで勉強に奮起。

 「制服が可愛いから、ここしか受けない」

 そう言っていたが、本当は「私立に行って負担をかけたくない」と思っていたようだ。

 念願かなって入った高校での生活は、とても充実しているように見えた。

 そんな娘のために、中学・高校の通算6年間、お弁当を作り続けた。

 大変ではあったけれど、忙しく働く中でのお弁当づくりは、気持ちが穏やかになるひとときでもあった。

卒業式を終えた後

 今年2月にあった高校の卒業式。

 式を終えた後、母の運転する車で一緒に帰宅することになった。

 車に乗り込むと、娘がカバンの中から何かを取りだし、「ハイ」と言って差し出してきた。

 「学校の書類か何かかな?」

 帰宅後、そう思いながら包み…

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