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愛知県庁

 愛知県教育委員会が、公立高校入試の調査書(内申書)にある「出欠の記録」と「行動の記録」の廃止を検討していることが分かった。近く、本格的な議論を始めるという。その狙いとは――。

 県内の公立高校入試はウェブ出願システムを導入しており、中学校が各受験生について、調査書情報として内申点にあたる「学習の記録」や、総合的な学習の時間でどんな活動をしたかを登録する。

 出欠の記録と行動の記録も調査書情報の一部だ。出欠の記録には2・3年生の時の欠席日数を記入する。行動の記録では、「責任感」や「思いやり」といった10項目について丸をつける形で評価する。

 ただ、合否は学力検査の結果と内申点の組み合わせで判断されており、両記録は「参考程度」(県教委)だったという。

評価の難しさ

 登校していなくても熱心に家庭学習などに取り組んでいる生徒もいる。欠席日数が必ずしも学習意欲を反映するものでないことや、廃止によって体調不良時などに無理して登校する子を減らせるのではという狙いから、検討を始めた。

 行動の記録については、客観的な基準が作りにくく、評価が教員の主観に寄りがちになってしまう難しさがある。このほか、学校での様子をもとに考えるため不登校の生徒の評価がしづらいといった問題があるという。

 文部科学省の調査によると、公立高校入試の調査書に出欠の記録がないのは2024年度入試の時点で、東京や神奈川、大阪、奈良、広島の5都府県。福井県や岐阜県も25年度入試から廃止している。行動の記録がないのは、24年度入試の時点で、岩手や秋田、福島、埼玉、東京、岐阜、京都、大阪、兵庫、和歌山、広島の11都府県。

子どもの不安払拭、教員の負担軽減にも

 東大大学院の中村高康教授(…

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