花をめでることが好きな銀梅花(ぎんばいか)さん(64、ペンネーム)。
1991年に授かった娘は、人懐っこくて甘えん坊な子だった。
関西で生まれ育った娘は高校卒業後、北陸にある大学の芸術系学部に進学。
マニュアル車の運転免許を取ってすぐに、自宅から400キロほどを走って北陸へ。
夫の単身赴任先が北陸だったこともあり、父娘で同居することになった。
大学では漆芸を学び、卒業制作はおせち料理を入れるお重。
学業だけでなく、メイクやオシャレにも凝っていた。
成人式の着物の着付けの時、銀梅花さんが「一緒にお化粧もしてもらったら?」と言うと、こんな言葉が返ってきた。
「自分の顔は自分のキャンバス。誰にも触らせない」
我が子ながらカッコイイことを言うなぁと思った。
卒業後は、結婚式場を備えたレストランで働き、室内装飾や料理のデザインなどを担当した。
入れ替わるようにして、銀梅花さんが北陸で夫と暮らし始めたので、娘は関西の実家でひとり暮らし。
網戸の張り替えや、庭木の剪定(せんてい)、台風で被害にあった屋根の補強もこなした。
亡くなった翌月に届いたもの
そんな娘が2019年、27歳で突然この世を去った。
あまりのショックに、銀梅花…