すべての高齢者が「人生の最終段階」まで最善の医療やケアを受ける権利を有する――。日本老年医学会が、医療従事者の基本姿勢をまとめた「立場表明」を13年ぶりに改訂した。本人の意思や意向を尊重し、緩和ケアを推進することなどを盛り込んだ。
高齢者の医療・ケアを担う専門職の学術組織、日本老年医学会は、2001年に発表した現場の従事者の考え方や行動の指針となる「立場表明」を6月に改訂した。改訂は12年以来。25年に団塊の世代がすべて75歳以上となったことをふまえた。
厚生労働省は、15年の指針で「終末期医療」を「人生の最終段階における医療」と言い換えた。だが、具体的な定義は各学会にゆだねていた。
今回の立場表明では、「人生の最終段階」を、①病状や老衰が不可逆的で死が避けられない医学的な状態かつ②本人の人生全体を眺めたとき、人生の物語の最終章と考えられ、本人の意向を尊重してもそう考えることができる場合と定義した。そのうえで、誰もが最善の医療やケアを受けられるという前提で、10項目の見解を盛り込んだ。
まず、「年齢による差別(エイジズム)に反対する」と表明。認知症を含めどんな状態でも、高齢を理由に必要な医療を制限しないことを求めた。
身ぶりや表情からも、意向をくみ取る
人生の最終段階の医療やケア…