藤井聡太名人(22)=竜王・王位・王座・棋王・王将・棋聖と合わせ七冠=に永瀬拓矢九段(32)が挑戦する第83期将棋名人戦七番勝負(朝日新聞社、毎日新聞社主催、大和証券グループ協賛)が10日、東京都文京区のホテル椿山荘東京で前日から指し継がれ、対局2日目を迎えた。
研究パートナーでもある両者が激突する5度目のタイトル戦にして初の名人戦。名人は3連覇を、挑戦者は初の名人位を目指す。シリーズを占う意味で大きな意味を持つ開幕局は1日目から難解を極める戦いになった。
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10日午前9時に封じ手が開封され、昼食休憩や夕休憩を挟んで夜までに決着する見込みだ。立会人は島朗九段(62)、副立会人兼新聞・ユーチューブ解説者は近藤誠也八段(28)、大盤解説は高見泰地七段(31)、聞き手は矢内理絵子女流五段(45)が務める。対局2日目の模様をタイムラインで徹底詳報する。
将棋担当記者コラム・北野新太
名人が神様に会えたら
「将棋の神様と会えたら何をお願いしますか?」
2019年12月、藤井聡太は名古屋市でのイベントでの席上でファンから尋ねられたことがある。
「全ての対局に勝てますように」とストレートに語る棋士もいたが、藤井の答えは少し違った。
「せっかく神様がいるのなら一局お手合わせをお願いしたいです」
まだタイトルを手にする前の17歳は屈託のない笑顔で言った。
会場の片隅にいた私は思った。「お手合わせ」という表現も、語る時の表情も全て藤井らしいな、と。
あれから5年半。
八冠になり、史上最年少名人になった。
そして今春、名人3連覇を目指す戦いに臨む直前、藤井に尋ねてみた。
「今、将棋の神様に会えたら何をお願いしますか」
藤井は5年前と同じようにハ…