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経済INSIDE

 中国が半導体産業の強化を急いでいる。きっかけは、米国による厳しい輸出規制だ。素材や製造装置で世界にまたがるサプライチェーン(供給網)を必要とする半導体で、米国の包囲網にあらがいながら「自立自強」にひた走る中国に、勝機はあるのか。

 中国・上海市で3月末に開かれた半導体分野の国際展示会「セミコン・チャイナ」。前年を3割ほど上回る約1400社の参加企業が集う会場に、ひときわ人だかりができるブースがあった。設立わずか4年の半導体製造装置メーカー「新凱来技術(SiCarrier)」のブースだ。

 シリコンウェハーに素材を張る「成膜」や表面加工を施す「エッチング」など、半導体の回路を形成する「前工程」に必要な装置の模型がずらりと並んだ。製品ラインアップの幅広さに、来場者は驚きを隠さなかった。

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新凱来の出展ブースには多くの来場者が訪れ、熱心に説明員に質問をする人の姿が多く見られた=2025年3月28日、上海市、鈴木友里子撮影

 新凱来は、ハイテク産業が盛んな深圳市の政府系投資会社が出資する国有企業だ。こうした展示会への出展は今回が初めて。それにもかかわらず大きな注目を集めたのには理由がある。業界内で取りざたされてきた、中国を代表する企業である通信機器最大手「華為技術(ファーウェイ)」との関係だ。

特許を調べると

 ともに深圳市に本社を置く新凱来とファーウェイの間には、資本上の直接的な関係はない。ブースで説明していた社員も「ファーウェイとは関係ありません」。

 だが新凱来が所有している特…

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