自民、公明、日本維新の会の3党が合意して進める高校授業料無償化の政策をどうみるか。
30年以上、高校教育を研究してきた早稲田大学の菊地栄治教授(教育社会学)に聞いた。
旧民主党政権時より「バラマキ」
今回の高校無償化の政策は、子どもが家庭の所得水準にかかわらず、私立を含めた高校選択ができるようになる点では、意味がある。
しかし、この政策が高校、特に公立高校に与える影響は大変大きい。じっくり吟味して決めた政策とは、とても言えない。
高校の無償化政策は、今回が初めてではない。政権交代を果たした旧民主党が2010年度以降に取り組んだ。公立高校の生徒の授業料を無料にし、私立の生徒にも同等額を助成する。当初予算で3933億円。社会全体で子どもの学びを支えるというメッセージが込められていた。
今回の無償化はどうか。ポイントは所得制限をなくしたことだ。国公立では2025年度から、年間の授業料にあたる11万8800円を上限に全員に支給する。私立は26年度から、全国の平均授業料に相当する45万7千円を上限に支給する。
これに生徒の人数を掛け合わせると、予算額は26年度以降、約7974億円に上る。旧民主党の2010年度予算のときの約2倍だ。自民党は、民主党政権の時「バラマキだ」と批判したが、今回はそれ以上だ。
今回の狙いをくみ取るなら、全家庭が授業料を負担しないですむようにし、平等な支援を目指すということだろう。
しかし、結果はそれとは、ほど遠いものになると思う。
■個人でも、学校間でも格差拡…