楽器にもしもの事態が起きたら…　吹奏楽コンクールを支える熟練の技

　晴れのステージに上がる直前、クラリネットが壊れてしまったら――。

　吹奏楽コンクールの会場には、強い味方がいる。楽器修理の専門家、リペア技術者だ。落としたり、ぶつけたり、移動中に不具合が起きたり。「事故」がつきもののコンクールを、熟練の技で支えている。

楽器の持ち主を不安にさせないプロの「おきて」

　「音が出ないんです」

　ある年、全日本吹奏楽コンクールの会場、名古屋国際会議場に設置されたリペアコーナーに、ピッコロを持った高校生が泣きながら駆け込んできた。

　本番まで30分もない…