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レッツ・スタディー!英語編③ 思い出いっぱいの2025年夏

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レッツ・スタディー!英語編

 英語は学校で勉強したけれど、実際に使うのは自信がない――。そんな人は少なくありません。NMB48メンバーの青原和花(あおばら・わか)さん(大学4年)、優花(ゆか)さん(高校3年)姉妹もそうだといいます。どうしたら英語を自分のものにできるのか。青原さん姉妹、追手門学院大学国際学部長の松宮新吾教授(英語教育学)と一緒に考える「レッツ・スタディー!」英語編第3回です。(構成・阪本輝昭)

【お題】この夏、一番心に残っている思い出を英語で

 今年の夏、青原さん姉妹にとって、最も心に残っている活動や思い出を英語と日本語で記述してください。

【青原和花さん】同期とのライブで生演奏!

 あおばら・わか 2004年、大阪府生まれ。22年、NMB48加入。23年のシングル「渚(なぎさ)サイコー!」、最新シングル「チューストライク」で歌唱メンバーに選ばれる。夢は「世界中に笑顔や希望を届けること」。愛称わかたん。

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NMB48の青原和花さん=米田怜央撮影

 It was such a hot summer! How was your summer, everyone?

 My best memory this summer was forming a band with members of the same year and performing together for the first time.

 As NMB48 idols, it was also our first time playing instruments at a live house. We built everything from scratch.

 The concert was packed and full of energy.The experience, the teamwork, and the joy we shared became a memory I’ll never forget.

 《本人による和訳》

 ものすごく暑かった夏! 皆さんはこの夏をどう過ごされましたか? この夏、私にとって一番の思い出は、同じ期のメンバーとバンドを組んで初めてライブをしたことです。

 私たちは普段アイドルとして活動しているので、ライブハウスで楽器を演奏するのは初の経験でした。全てを一からつくり上げました。当日は満員のお客さまの前でライブができて、そこで得た経験やチームワーク、喜びは、一生忘れられない思い出になりました。

【青原優花さん】「選抜」として初めての夏!

 あおばら・ゆか 2007年、大阪府生まれ。22年、NMB48加入。今年4月9日リリースのシングル「チューストライク」で歌唱メンバーに選ばれ、グループ初の「姉妹同時選抜入り」。夢は「マルチな活躍」。愛称ゆかたん。

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NMB48の青原優花さん=米田怜央撮影

It’s still hot, isn’t it?

Please be careful of heatstroke and drink lots of water!

My summer vacation was really fun because I performed in many different places. I performed for many people, from Osaka to Tokyo, both indoors and outdoors, and I sweated a lot.

This summer was also special because I performed as a SENBATSU or one of the selected members of Team NMB48 for the first time.

It became a wonderful memory.

 《本人による和訳》

 まだまだ暑いですね。熱中症には注意してしっかりと水分補給をしてください!

 私の夏休みは本当に楽しく、たくさんの場所でパフォーマンスをしました。

 大阪から東京まで、屋内でも屋外でも多くの人たちの前で披露し、たくさん汗をかきました。

 この夏は初めて(シングルCDの表題曲を歌う)NMB48の選抜メンバーにも選ばれるという特別な夏にもなり、とても良い思い出になったのです。

     ◇

私から発表したいことがあります!(青原優花さん)

 ここからは、青原さん姉妹の英文をもとに、追手門学院大学の松宮新吾教授を交えて「より伝わりやすい英語の表現技法」について対話していきます。

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追手門学院大学の松宮新吾教授、NMB48の青原和花さん、青原優花さん(左から)=米田怜央撮影

 青原優花さん 実は今日、この場で発表したいことがあるんですよ。Guess what?!(なんだと思いますか?)

 青原和花さん えっ、なになに?

 優花さん 私、英検2級に合格しました!

 松宮新吾さん Wow, that’s fantastic!(おおっ、素晴らしい!)

 優花さん 「英語編」の読者の皆さんにまずお知らせしたくて。

 松宮さん 素敵な夏の思い出がもう一つ増えましたね。和花さんは同期のメンバーと一緒にバンドを組んでライブをしたとのことですが、いかがでしたか?

 和花さん 私たち、普段の公演では音楽に乗って歌ったり踊ったりするのですが、バンドでは自分たちが全ての音をつくり出さないといけない。誰かの楽器が止まったら流れも止まってしまう。とても緊張しました。

 松宮さん 和花さんの担当した楽器は。

 和花さん キーボードです。

 松宮さん それはぜひ知りたい要素ですね。盛り込んでみますか。

 和花さん えっと。「I played the keyboard」ですかね。

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NMB48の青原和花さん=米田怜央撮影

 松宮さん 素晴らしい。バンドらしくクールに表現したいなら「I was on the keyboard」という言い方もあります。

 和花さん それだっ!

 優花さん ど、どうしたの?

 和花さん いや、私の実感にぴったりで。最初はキーボードに「使われている」感じだったのが、練習を重ねるうちに、だんだん馬を乗りこなすような、音の上にまたがっているような感覚になってきてさ。まさに「on the keyboard」だなと思ったの。

 松宮さん 和花さんの英文で印象深いのは「My best memory」(一番の思い出)や「for the first time」(初めて)、「a memory I’ll never forget」(一生の思い出)のように、「一(いち)」を含む最上級の表現などを効果的に使っている点です。これらは思い出の価値を強調し、高めています。

 和花さん あ、ありがとうございます!

 松宮さん 「from scratch」(一から、あるいはゼロから)という強い表現からも、メンバー全員がただバンドを始めたのではなく、「本当にゼロからつくり上げた」という努力や誇りを感じます。

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追手門学院大学の松宮新吾教授=米田怜央撮影

 和花さん 確か辞書で見つけた素敵な表現です。どんな由来があるんでしょうか。

 松宮さん scratchはもともと「ひっかき傷」を意味する言葉ですが、「地面に引いた線」という意味でも用いられ、それが「スタートラインから」という比喩的な表現に。

 和花さん 由来を知ると一層素敵ですね。

 松宮さん そして、優花さんの熱中症対策を呼びかける冒頭のひと言。実際のライブ会場で観客に話しかけるような双方向の雰囲気と、コミュニケーションを結びにいく姿勢が素晴らしいです。メッセージの送り手と受け手との間で関係性をつくり上げていくという点を意識していますね。

 優花さん はい、そこは意識しました。でも、本当はもう一段、「双方向」感を出したいです。どうするのがいいでしょうか。

 松宮さん 実際のライブ会場と同じです。観客(読み手)に質問を投げかけるのがいいと思います。一番シンプルで万能な表現としては「How was ○○?」です。これは過去の出来事や体験について「○○はどうだった?」と感想を尋ねるものです。「How was your weekend?」(週末はどうだった?)、「How was the movie?」(映画はどうだった?)などのように。

 優花さん これは便利な表現ですね!

 松宮さん ところで、なぜ冒頭で暑さ対策を?

 優花さん 9月以降も猛暑の日がありそうだと天気予報で見たので。今年の夏、とても暑かったじゃないですか?

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NMB48の青原優花さん=米田怜央撮影

 松宮さん 確かに。優花さんも「I sweated a lot」(たくさん汗をかいた)と書いていますね。

 優花さん はい。実は私、とても汗かきで、特に公演やライブの後は汗びっしょりなんです。「I was sweating buckets」(バケツ何杯か分の汗をかいた)と言った方が近いかもしれません。前髪をばっちり決めても最後は乱れてしまって、恥ずかしくて。

 松宮さん でも、その汗はアイドルとして全力をぶつけた証しですよね。「I gave it my all(全力を出し切った), sweating a lot」とつなげてはどうですか。

 和花さん そう、汗は努力の証しだよ。

 優花さん じゃあ、これからも堂々と汗をかいていくことを約束します(笑)。

 松宮さん その流れで、もう一つ、観客(読み手)と約束をしてみませんか?

 優花さん えっ、約束ですか?

 松宮さん 熱中症に注意、しっかり水分をとってね――。その文章に「Pinky swear!(ピンキー・スウェアー!)」という表現を組み込んでみるのはどうでしょう。

 和花さん どういう意味になりますか?

 松宮さん 日本でいうところの「指切りげんまん」ですね。英語でも同様に「Pinky swear!」と言って自分の小指にキスをするしぐさをします。Pinkyは「小指」、swearは「誓う」という意味です。「Pinky promise you’ll drink lots of water, okay?」とすれば、「しっかり水分もとってね、約束ですよ」という文章になります。

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青原優花さん(右)と姉の青原和花さん ©NMB48

 優花さん 約束するときに小指を使うのは日本も英語圏も同じなんですね! 面白い。

 松宮さん 「約束」の要素を加えることでメッセージは一方通行のものではなくなる。そういう効果もあります。

 優花さん なるほど、約束か……。そう言われれば、私たちアイドルもファンの方々と日々色んな約束を交わしているなぁ。大きな約束、小さな約束。それは私たちとファンの方々が一緒にかなえたい夢であり、つかみたい未来でもあるんです。

 和花さん どんな大きな夢も、小さな約束の積み重ねだもんね。

 松宮さん 約束を交わすことによって、アイドルさん一人ひとりの夢が、同時にファンの人たちの夢にもなるということですね。学びがあります。

 優花さん 英検合格も、選抜メンバー入りも、ファンの人たちと約束していた目標でした。だからこそ、一層うれしく感じます。これからもたくさん「Pinky swear!」していきたいな。

     ◇

【青原優花さんコラム】先輩たちが卒業した後に……

 青原和花さん・優花さん姉妹が交代で執筆する、英語に関するコラム。今回は妹の優花さんが、NMB48の未来を担っていく決意についてつづりました。

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東京・渋谷であったNMB48のライブで歌う青原優花さん(中央)=2025年8月31日 ©NMB48

 私が今回紹介する英文はこちらです!

 I gotta keep trying

 私は挑み続けなきゃ

 Gotta keep my head held high

 下を向いてなんかいられない

 これは、Miley Cyrusさんの「The Climb」という曲の歌詞です。

 YouTubeで洋楽を調べていた時に、自分の心境にぴったりな曲をみつけました。

 私の所属するNMB48では最近、長く活動してこられた先輩メンバーさんたちの卒業や卒業発表が続きました。先輩たちがアイドルとして経験を生かして新しい階段を上がっていく様子をまぶしい思いで見守っています。

 一方、これまでNMB48のカラーを形作ってきた先輩、ファンの人たちとの固い絆を作ってきた先輩たちが不在となってしまうことに、若手メンバーの一人として不安な気持ちがないといえばうそになります。

 2022年に加入した私たち9期生は、まだまだ駆け出し、先輩の背中を一生懸命追いかける立場だと思ってきましたが、気付けば、(2021年加入の)8期生さんたちとともにNMB48の中核世代となりつつあります。

 同期の芳賀礼ちゃんとよくごはんに行くのですが、どちらからともなく、「これからのNMB48をどう盛り上げていこうか」という話になります。まるで作戦会議。いつしか私たちもそんな世代になったんだな、と感じます。

 私たち9期生ってどんな期だろう、と考えます。歌がうまい子が多い。バラエティーが好きで、笑いをとるのが上手な子も多い。多芸多才。そして何より努力を惜しまず、熱い同期愛に満ちている。歌、お笑い、努力、友情。そんなキーワードが次々に浮かんできます。それら一つひとつが、私たちの武器であるはず。それをもっと前に出していけば、私たちはもっともっと上に行けるはず、と思います。

 立ち止まるのではなく、自分になにかできることがないか。大好きなNMB48の未来をファンの人たちと作り上げていくため、走ることをやめたくない。そんな気持ちをこめて紹介させていただきました。

 もっと「ワクワクする未来」へ。NMB48を引っ張る一人として成長を果たしていきたいと思います。

     ◇

【例文】松宮教授による添削後の表現

 松宮新吾教授による添削を加えた英文です。

 まつみや・しんご 1956年生まれ。大阪府立高校教諭や大学教授などとして英語教育に40年以上携わる。専門は外国語教育や英語教育学。

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追手門学院大学の松宮新吾教授=米田怜央撮影

 【青原優花さん】

 It’s still ho…

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