
国内最高となる約3億円の薬価がついたデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の遺伝子治療薬「エレビジス」が公的医療保険の対象になり、国内で販売が始まった。「夢の治療」と呼ばれた遺伝子治療には、億円単位の薬剤はほかにもあり、今後増える可能性がある。公的医療保険の中でこうした高額治療をどう考えたらよいのか。
DMDは進行性の遺伝性疾患で、主に男児に発症する。筋肉の細胞膜の強度を高めるたんぱく質「ジストロフィン」がつくられず、進行すると歩行が困難になり、呼吸や心臓の機能が落ちていく。個人差はあるが、10歳以降に人工呼吸器が必要になることが多い。世界では男児の5千人に1人程度が発症するとされる。
エレビジスは無毒化したウイルスで、ジストロフィンをつくるために必要な遺伝子を筋肉の細胞に運び、ジストロフィンをつくれるようにする。3~7歳の歩ける子どもが対象となり、1回の治療で長期的な効果が期待されている。
これまでのDMDに対する治療は、進行を遅らせるステロイドなどが中心だった。新しい治療法として、ジストロフィンが患者の体内でつくられるようにする「核酸医薬」が承認されたが、対象は患者の8%に限られ、週1回の頻度で継続的に使う必要がある。
DMDの治療に詳しい国立精神・神経医療研究センターの青木吉嗣部長は、エレビジスについて「根本治療に近づいた画期的な薬と言える。これまで治療の選択肢がなかった患者や家族にとって希望になる」と評価する。
「この技術は将来的に様々な病気の治療に応用できる可能性がある。一つの病気だけで考えると高価でも、広がっていくなかで価格が下がることも考えられる」とも話す。
医療財政への影響について、東京大学大学院の五十嵐中・特任准教授(医療経済学)は「薬価に加え、薬が使われる回数と年間の患者数の三つの軸で考える必要がある」と指摘する。
2月から販売が始まったエレ…






