
人手不足で「売り手市場」が続く就職戦線。今春、晴れて社会人となった若者がまもなく手にする初任給は、おいくら――?
京都、滋賀など2府2県で計135店舗を持ち、信用金庫として全国トップの預金残高を誇る京都中央信用金庫(京都市)は、5年連続で新入職員の初任給を引き上げた。最も上げ幅が大きいのが短大卒で、2022年度の18万7千円から今年度は約1・4倍の26万2千円に。「魅力的な賃金水準で採用市場での競争力を高め、優秀な『人財』を確保したい。働きがいも感じてもらいたい」と説明する。
京都銀行(京都市)も2年ぶりに初任給を引き上げ、大卒で28万5千円とした。安井幹也頭取は「30万円を超えるメガバンクに比べるとまだまだだが、地域密着で働きたいと選んでくれる学生も増えてきた。中間管理職も含め全体の賃金水準の底上げを図りたい」と語る。
筋ジストロフィーなど、難病や希少疾患の治療薬の製造・販売を手がける日本新薬(京都市)は今春、定期昇給分を含め社員1人あたり6・33%、平均2万4800円以上の賃上げを実施。初任給も3年連続で引き上げ、博士卒で33万4千円、大卒で29万4千円に。「優秀な若手の採用は会社の成長に不可欠」という。
髪形の自由化、株式プレゼント…
近畿、北陸、中部で170店舗を展開するスーパー、平和堂(滋賀県彦根市)も3年連続で初任給を引き上げ、大卒で25万円とした。深刻化する人手不足に対応しようと、働きやすい環境を整えてきた。髪形やヘアカラー、ピアスなどを自由化。女性限定だった制服のスカートやカーディガンも廃止し、ジェンダー平等や多様性に配慮した。
若手の定着を図ろうと、近江鉄道(滋賀県彦根市)は昨年度から、新入社員への株式のプレゼントを始めた。5年間継続して勤務すると、親会社にあたる西武ホールディングスの株を50株もらえるという。同社の株価は8日時点で4457円。ざっと20万円を超える計算になる。「業績を上げて株価が上がれば、もらえる金額も増える。働きがいにもつながる」と近江鉄道の広報担当者。今春の新入社員(総合職)の給与は16・6%の大幅引き上げで25万3200円とした。
エレベーターなどの昇降機大手、フジテック(滋賀県彦根市)も、6年連続で初任給を引き上げる。物価高や業績などを総合的に勘案したという。
給与の「逆転現象」も
帝国データバンク大阪支社が近畿の230社に尋ねたところ、72・6%が初任給を引き上げると回答。初任給額は「20万円以上25万円未満」が65.8%で最も多かったという。
原材料費の高騰などで企業コストが膨らむ中、中小企業からは「初任給引き上げに充てる原資の確保が難しい」といった声が聞かれた。既存社員より新入社員の給与が高くなる「逆転現象」が起きるため、引き上げに踏み切れなかったり上げ幅を小幅にとどめたりする企業もあるという。









