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遺産争続の敗者たち

 東京都杉並区に住んでいた実業家の80代男性が2023年、脳出血で急死した。

 「妻に全財産を相続させる」

 男性が生前にのこしていた遺言書が、母と娘の骨肉の「争続」を引き起こした。

 男性は杉並区に自宅(時価約1億円)、中央区にタワーマンションの一室(時価約2億円)を所有していた。自宅には男性と70代の妻が夫婦で住み、タワマンには40代のひとり娘が1割の所有権を持ち、夫婦で住んでいた。

 妻が亡くなれば、自宅もタワマンもいずれ娘に相続されることになる。妻に全財産を相続させるとした自筆の遺言書は、将来的な娘への相続も見越した、十分な配慮にみえた。

 男性の死後、相続人である妻と娘らは家庭裁判所で遺言書の「検認」を行った。検認とは、亡くなった人が自筆の遺言書を残していた場合、書き換えなどの不正を防ぐために、裁判所が相続人に知らせて遺言書の内容を確認する手続きのことだ。

 全財産を妻にゆずる、という遺言書の内容を知った娘は激怒した。

遺産の配分をめぐって親族らでトラブルになるケースが後を絶ちません。そこには不動産価格の高騰、熟年再婚、認知症といった昨今の世相も影を落とします。遺産相続ならぬ「争続」のリアルに迫る連載。初回は実の母娘による骨肉の争いに迫り、トラブルを避けるための方策を専門家と考えます。原則、毎週日曜日配信予定です

 娘はすぐに弁護士を立て、「…

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