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グラフィック・山本美雪

「時をよむ」論説委員室から

 ある裁判を題材にした映画のイベントに足を運んだときのこと。「勝つのは難しいと思った」――。裁判で原告女性の代理人を務めた辻本育子さん(77)が相談を受けた37年前の日を、そう振り返ったのには驚いた。

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元弁護士の辻本育子さん(中央)=2026年9月18日、東京・霞が関の弁護士会館、山本亮介撮影

 裁判記録によると、女性は1985年に出版社に入ると、男性編集長から「異性関係が乱れている」「夜の仕事が向いている」「不倫している」などと繰り返し中傷を受け、アルバイト学生に対しても言いふらされた。職場環境は悪化し、役員に相談したが退職を迫られ、88年に退社した。

 読者のみなさんは、女性が受けた仕打ちはセクシュアルハラスメントと感じるだろう。だが、当時はちがった。

 この裁判で裁判長を務めた川本隆さん(89)を取材したことがある。川本さんも当初は「よくある職場内のいじめ」と感じていたという。ところが価値観が揺らぐやりとりが法廷であったと明かした。

 編集長が「女性は夜遊び好き…

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