How Companies Dodge Tariffs
今年2024年秋の米大統領・議会選で、誰が大統領に選ばれ、どの党が議会で多数派を占めようとも、米国の通商政策における中国に対する厳しい保護主義的姿勢は変わらないだろう。だが、通商問題の専門家たちからは、バイデン大統領が最近実施に踏み切った、敵対国に関税を課す米国第一主義の政策モデルは逆効果だ、という声が上がっている。
関税や輸出規制に批判的な専門家たちは、その種の政策はインフレを悪化させ、経済成長の足を引っ張る可能性があるだけでなく、もっと単純な理由で失敗するだろうと指摘する。貿易制限によって、中国企業は業績の減速に見舞われるかもしれないものの、規制をかいくぐるだけのすべを、すでに持っている、という見立てだ。
米欧の政策担当者と協力関係にある米超党派シンクタンク「タックス・ファウンデーション」のエコノミスト、アレックス・ドゥランテ氏は「(貿易制限は)失敗する」とにべもない。
企業は貿易制限をかわせる――。このことを見せつけたのが中国通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)だ。同社が2023年に先端半導体を搭載したスマートフォン「Mate 60」を発表したとき、米政府や議会からは驚きの声が上がった。使われていた先端半導体が、バイデン政権がその1年前に成立させた半導体支援法[CHIPS Act]により、中国の手には渡らないようにした技術そのものだったからだ。
しかし、ファーウェイは正面から国際貿易ルール違反をしたのではなく、打開策として、禁輸対象の半導体製造に必要な生産財を入手する、複雑な闇市場ルートを使ったのだ、とコペンハーゲン・ビジネススクールのダグラス・フラー准教授は断言する。「こうした半導体供給企業に対する米国の手ぬるい管理体制」がファーウェイを助けた、と同氏は最近の研究リポートで指摘している。
- 【注目記事を翻訳】連載「NYTから読み解く世界」
バイデン政権の通商政策には抜け道があるだけでなく、経済にも悪影響があると見る向きもあるようです。通商政策の影響について、NYTが専門家に取材しました。
同じような規制回避手段は…