福岡県立育徳館中学・高校(みやこ町)の管弦楽部が6月12日夕、ベートーベン「交響曲第9番」のコンサートに向けた全体練習をした。7月26日に北九州市であるコンサートでは、ウィーンを拠点に活躍する指揮者の佐渡裕さん(63)がタクトを振る。
管弦楽部と佐渡さんは、行橋市のギャラリー館主、植田義浩さん(77)の仲立ちで2018年から指導や演奏会などの交流を続ける。今回、部にとって初挑戦となる「第九」は生徒の希望で計画された。コロナ禍で一度は見送られたが、実現に向けて準備を重ねてきたという。
12日の練習は同校の講堂であり、佐渡さんに師事する指揮者で和歌山フィルハーモニー管弦楽団ミュージックアドバイザーの矢澤定明さん(59)=東京=が指導した。各楽章の演奏を進めては止め、楽器のパートや小節ごとに丁寧に助言。「弾けている。その上で何をするかのために今日があり明日がある。もう一つ上を探していこう」と鼓舞した。
練習の後、部長の進香里さん(高校3年)は「細かなところがまだつたない。音に気持ちをのせ、お客さんに届けられるよう極めていきたい」。部のコンサート実行委員長である橋本菜乃さん(同)は「足りていない部分がある。プロのオーケストラをよく聴いて学びたい」と話した。
本番は部員90人のうち中学1年以外の約70人がステージに上がる。公募の市民合唱団やプロの楽団員と共演する。
チケットの問い合わせは、会場の北九州ソレイユホール(093・592・5405)。詳細は、奇跡のコンサート実行委員会のウェブサイト(https://kiseki-concert.com)。(田中久稔)