受験生や保護者に大学を公開する「オープンキャンパス」。少子化などの影響で私立大の定員割れが問題になり、各大学が学生集めに工夫を凝らす中、兵庫県西宮市の大手前大学で21日、人気の「Vチューバー」が参加する珍しいオープンキャンパス企画が公開された。
動画共有サービス「ユーチューブ」で活動する人たち(ユーチューバー)の中でも、アニメやCGで作られたバーチャル(仮想的)なキャラクターを通じて動画を配信するのがVチューバー。ファンにあたる登録者数が数十万から数百万人という人も少なくない。
この人気に着目し、大手前大は今年初めて、「ンゴちゃん」で知られる人気Vチューバー「周央(すおう)サンゴ」さんの所属会社と契約し、オープンキャンパスに登場してもらった。
この日は事前予約の高校生や保護者ら約150人が参加。大型スクリーンに周央サンゴさんのキャラクターが映し出され、「大手前大学を体験しちゃいますよ~」と音声が流れると、拍手がわいた。説明役の教授や学生とリアルタイムで受け答えをしながら、大学の特徴や授業内容について約2時間にわたり、聞き役を演じた。
大手前大では年間10回程度のオープンキャンパスを開催しているが、Vチューバーの登場は初めて。奈良県生駒市から友人と参加した高校1年の女子生徒(15)は「くだけた感じでわかりやすかった」と満足していた。
企画した現代社会学部長の谷村要教授(社会学)によると、「実在しない人を呼んで、人が集まるのか」と懸念する声もあったが、募集を途中で打ち切るほどの反響だったという。「仮想空間で活動する人にも、リアルな世界を動かす力がある。若者に訴求力のあるインフルエンサーの力を強く感じました」と語った。(小池淳)