首都圏で中学受験が熱を帯びる中、子どもの習い事と受験勉強の兼ね合いをどうするかが親子の悩みの種になっています。小さい頃から続けたスポーツや芸術活動を中断せざるを得ない子が多い一方、両立するケースも。それぞれの体験を聞きました。
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8日、東京タワーにほど近い東京都港区の人工芝のグラウンドで、小学校5、6年生6人がコーチらと一緒にサッカーボールを追っていた。小学生向けサッカークラブ「ポートキッカーズ」の練習だ。
中学受験が特に盛んな都心の子たちが通っており、受験が近づくと通えなくなる子も多い。幼児も含めると120人が所属するが、現在、継続的に通う6年生は2人のみ。この日参加した6年生は1人だけだった。今春卒業した現中1生は春に12人いたが、秋ごろには3人になった。塚本雄一郎代表(55)は「受験はそれぞれの家庭の選択なので、尊重している。いったん休んでもやりたければ、いつでも復帰できると伝えている」という。
クラブの小6女子児童の母親(49)は「受験との兼ね合いは本当に難しい」と話す。高2の兄もクラブに所属していたが、中学受験のため小6の秋の大会に出られず、「受験をやめたい」と涙を流した。すでに受験に向けて時間やお金をつぎこんでいたためやめさせることができなかった。兄はいま、振り返って「受験してよかった」と言ってはいるものの、「やりたいことをやらせてもよかった」。妹は受験をさせないことにしたという。母親は「勉強も大事だけど、仲間と一緒に過ごす時間も貴重」と話す。
私立・国立受験生の7割「習い事やめた」
進学塾「栄光ゼミナール」が今年1~2月、私立か国立の中学を受験した小学6年の通塾生の保護者300人に行った調査では、71・7%が受験までに習い事をやめたと回答。やめた時期は「小5」が最多の26・0%で、「小6の夏休み前」が18・0%、「小6の夏休み以降」が17・0%、「小3以前」が3・0%だった。「やめずに続けた」は24・3%、「習い事をしていなかった」は4・0%だった。
一方、公立中高一貫校を受検した小6の保護者104人に同様の調査をしたところ、やめたのは51.9%にとどまり、「やめずに続けた」が46・2%に上った。
記事の後半では、習い事と中学受験を両立した家庭の体験談も紹介しています。
受験と習い事の両立が難しい…