安全を確保するための施設が未完成のまま再稼働に踏み切っていいのか――。東京電力が再稼働をめざす柏崎刈羽原発(新潟県)をめぐる論点の一つに、テロ対策施設がある。
再稼働の容認を表明する1週間前の14日、新潟県の花角英世知事は7年ぶりに柏崎刈羽原発を視察した。安全対策を確認するためだが、新規制基準で義務づけられたテロ対策施設は未完成のままだった。

施設の完成は31年になる見込みで、東電が想定する早期の再稼働には間に合わない。
にもかかわらず再稼働をめざせるのは、原子力規制委員会の認可から5年間は設置が猶予されているためだ。制度で認められているとはいえ、「安全最優先」を掲げる東電の姿勢の本気度を疑わせる状況になっている。
「法的に問題ない」で事故招いた東電
「完成するまで再稼働すべきでない。安全最優先でなく経済最優先だ」
「完成していなくても再稼働可能なことが、県民の不安感を増大させているのではないか」
国や東電の関係者を呼んで10月16日に開かれた新潟県議会の委員会では、テロ対策施設をめぐる質問が相次いだ。
テロ対策施設は「特定重大事故等対処施設」(特重)と呼ばれる。
航空機を衝突させる攻撃で中央制御室が壊れても、遠隔操作で注水して原子炉を冷やせる機能を備える。大がかりな新設工事になることから、猶予期間が設けられてきた。

期限は、原子力規制委員会の審査後から5年以内。この間に原発を動かしても、法的には問題ない。実際、他社の原発は未完成のまま再稼働している。
ただ、東電は福島第一原発事故を起こした当事者だ。それも「法的に問題ない」として追加対策を取らずにいた末の事故だった。
事故後の裁判で、武藤栄・元…







