Smiley face

【動画】ミャクミャクのどこが好き?万博の来場者に聞いてみた=佐藤慈子撮影

 大阪・関西万博の閉幕が近づき、公式キャラクター、ミャクミャクとも会場で会えるのはあとわずかとなった。発表時は「気持ち悪い」と言われていたのに、いつの間にか大の人気者になったミャクミャク。いったい、どこに引かれたのか。

  • 万博キャラ「ミャクミャク」の誕生秘話 しっぽに込めたオマージュ
写真・図版
ミャクミャクハウスでは、ミャクミャクとハグだってできる=2025年10月4日、大阪市此花区、水野義則撮影

 京都市在住の会社員、堀井さやかさん(40)は通期パスで月3、4回のペースで万博に通い、これまでに20回、訪れた。閉幕日も予約済みだ。

 そんな堀井さんがミャクミャクに興味を持ったのは意外と遅い。

 来場7回目の7月、会場へと続く夢洲(ゆめしま)駅の巨大なサイネージ広告の前を通過したとき、動くミャクミャクが目に飛び込んできた。コミカルな動きに思わず立ち止まった。

 「あれ? もしかして可愛い?」

 そう思ってからは早かった。

 ミャクミャクのことは何でも知りたいと、自分から調べるようになった。未来への視点や生命のエネルギーなどを表す、目の形と数、輪の輪郭の意味。それを知って「あんた、そんなにすごい子やったんか」とますます応援したい気持ちになった。

 9月、ここだけは行くまい、と決めていたミャクミャクハウスにも行った。カーテンが開き、ミャクミャクが近づいてきた時は「久しぶり! 元気やったか」と、初対面なのに再会を喜ぶような心境だった。

写真・図版
堀井さやかさんがミャクミャクハウスで撮った記念写真=2025年9月11日、大阪市此花区、堀井さん提供

 ミャクミャクハウスを出た時、ふと我に返り、自分の変化に気づいた。

 年齢を重ねるにつれて、楽しそうと思っても「いい大人が」と思い自分にブレーキをかけて我慢することが増えていた。でも行動してみたら、心がこんなにも楽になるのかと思った。

 「ミャクミャクがそのブレーキを外してくれた気がする。たくさんの目で、自分の意外な一面を見つけてくれたかな」

    ◇

誰も拒まないキャラクター

 東京都在住のたくみさん(44)は、6月に1度だけ万博を訪れた。

 開幕するまで、万博に行くことはないだろうと思っていた。だがネットでパビリオン紹介が目に留まり、興味が出てチケットを購入。万博のリサーチを始めた。

 調べ出すと、ミャクミャクの情報がどんどん飛び込んできた。最初は「嫌いではない」程度だったが、ある時ふと「可愛い」と思えてしまった。きっかけは分からない。向こうから笑顔でやってきて「あなたのお供をしますよ」と言ってくれているような気がした。

 万博に行く日が近づくと、多くの人と同じように、ミャクミャクのアクセサリーを作りたくなり、カチューシャを作った。

写真・図版
たくみさんが自作したミャクミャクのカチューシャ=本人提供

 その過程で、デザインの汎用(はんよう)性の高さに気づいた。

 アクセサリーだけではなかった。日用品、文房具、お菓子……ありとあらゆる分野に、ミャクミャクグッズがある。デザインも格好いいものから可愛い庶民的なものまで、生き物感が強いものから無機質なものまで、形も色も変幻自在だ。

 「この守備範囲の広さが、誰も拒まないキャラクターとして、多くの人に受け入れられているのではないでしょうか。私がそうでした」と、たくみさんは振り返る。

写真・図版
手作りのミャクミャクカチューシャをつけて、大阪ヘルスケアパビリオンを訪れた、たくみさん(右)夫婦=2025年6月、大阪市此花区、本人提供

 万博に行くことがないためリサーチもしなくなり、最近はミャクミャクに触れる回数が激減した。でもミャクミャクに対する、いとしい気持ちは変わらない。呼ぶときはいつも心の中で「ミャク様」「ミャクちゃん」と愛着を込めて呼んでいる。

妖怪? 気持ち悪いものを受け入れる文化

 ミャクミャクの人気の秘密について専門家はどう見ているのか。

 大妻女子大学の野沢智行教授(キャラクターマーケティング)は、ミャクミャクの人気の変遷は万博の評判に影響を受けていたと指摘する。

 「2022年に公式発表されたときは、万博そのものが批判されていた。よくないイメージが前提としてあったが、万博を楽しむ人がSNSで投稿し始めると、楽しいものの象徴として、ミャクミャクの人気も上がっていったのではないか」とみる。

写真・図版
埼玉県の非公式キャラ「にゃーちゃ、」と記念写真に納まる野沢智行さん=2025年9月、前橋市、本人提供

 また一見、気持ち悪く見える容姿も、人気が上がった要因のひとつだという。

 「日本には昔から妖怪などが受け入れられる文化がある。悪魔までいくと駄目だが、変なもの、この世にないものが受け入れられる土壌があり、何の変哲もないものよりウケる要素がある」と話す。

 第一印象がネガティブで、インパクトがあるものは話題になりやすく、話題になればなるほど、目にする頻度が増えるほど好意を抱きやすくなる「単純接触効果」が増える。

 これは、奈良県の公式マスコットキャラクター「せんとくん」の人気の変遷とよく似ているという。そこに、はやっているものはさらに支持を受けやすい、行列があれば並びたくなる心理の「バンドワゴン効果」の影響も受け、人気が急上昇していったとみている。

写真・図版
ミャクミャク像の前に集まる来場者=2025年9月23日、大阪市此花区、恒成利幸撮影

    ◇

秘密は「主人公カラー」

人気の秘密の深掘りは、まだまだ続きます。
記事の後半にはミャクミャクが自分の人気をどう感じていたのか、ミャクミャクに直接インタビューしました。

【特集】ショート動画で見る 大阪・関西万博

2025年の大阪・関西万博の記憶を、閉幕後も残るよう記録したい――。 ほぼ毎日、万博会場に足を運んだ記者たちが、パビリオンやイベントなどをショート動画に収め、SNSで紹介しました。現地へ行った人も行けなかった人も、一緒に回った気分を体験しませんか。

 ゆるキャラ評論家の犬山秋彦…

Share.