
電話口から、泣き声が聞こえる。
その電話を取ったのは、「北海道いのちの電話」の相談員に登録して1年目のことだ。
声の主は、若い女性のようだった。しゃくりあげる声で、内容が聞き取れない。「うん、うん」と相づちを打つことしかできなかった。
相手が黙り込めば、こちらも静かに待つ。「大丈夫だよ。話し出せるまで、ずっと待ってるから」
ゆっくりと、女性は言葉をつなぎはじめた。毎日泣いていた――。
電話は小一時間に及んだ。泣き声が、だんだん笑い声に変わった。
「死のうと思ってたけど、生きてく。今日電話ができて、話せて、うれしかった」。そう言い残し、電話は切れた。
あれから10年あまりが経つ。当時は、自分が話しすぎてしまいがちだった。
「相手が進学に悩んでいれば、『ちゃんと勉強してる?』なんて、母親としての自分が出てしまっていた」
相談員の基本はただ聞くこと。抱えた気持ちを話してもらう場で、意見やアドバイスはしない。
電話越しの出来事を、直接止…








