
米当局は今年10月、カンボジア最大規模の複合企業の一つ「プリンス・グループ」に対して、大規模なオンライン詐欺で収益を上げていたとして制裁を科し、2兆円規模の暗号資産を没収する手続きを始めた。カンボジアの現場を取材した。
- 暗号資産2兆円、米当局が没収へ 「アジア最大級」詐欺組織の闇
首都プノンペンから車で1時間。「マンゴー・パーク」と呼ばれるプリンスの詐欺拠点は国道沿いにあった。
「元々はマンゴーの加工工場だった。数年前からその裏手にアパート群が建てられ、詐欺の拠点になった」と近隣住民が語る。
国道側には10階建てのビルと倉庫のような建物が立っているが、裏手に回るとアパートのような居住棟が10棟ほど並んでいる。ほとんどの窓に鉄格子がついていて、敷地全体が高さ5メートルほどの塀と鉄条網で囲まれている。
近隣住民は「中にいたのは中国人、ベトナム人、パキスタン人など。数千人いたのでは」と証言。米財務省によると、こうした詐欺拠点では人身取引や拷問が横行。作業員は奴隷状態に置かれていたという。
さらに車で10分ほどの場所には「マンゴー・パーク2」と呼ばれる拠点がある。学校の校舎ほどの4階建ての住居棟が10棟近く立ち並ぶ。近隣住民によると、建てられたのは2年ほど前だったという。
二つの拠点はいずれも今年7月、当局の捜査が入るのと前後して無人になった。「マンゴー2」の近くで宅地分譲している不動産業者の男性は「プリンス・グループ系の施設の隣だから売れると思ったが、当局の手入れが入ってから、誰も来なくなった」と嘆く。
プリンス・グループの創設者は中国系カンボジア人。不動産やホテル、カジノ、銀行などを経営する一方、インターネットなどを通じて世界中の人々を標的に詐欺を繰り返す「コールセンター詐欺」で収益を上げていたとみられている。
米財務省によると、プリンス・グループは30以上の国・地域で活動。日本にも系列会社があったことが分かっている。










