
剣道の稽古中に当時小学1年生だった女児を木刀で殴ったとして、指導者の50代男性が傷害容疑で書類送検され、8月に暴行罪で略式起訴される事件があった。事件以降、女児は大好きだった剣道を再開できないでいるという。こうした事件を二度と起こさないため、女児の父親が当時の状況と思いを語った。
入門当初、女児「大きな声、気持ちいい」
女児(8)は2023年秋ごろ、姉の後を追って都内の剣道道場に通い始めた。当時「大きな声を出して、体を動かして気持ちがいい」と家族に話していた。自宅のトレーニングルームでも竹刀を振り、めきめきと上達した。
女児が指導者の男性がいる東京都足立区の道場に入ったのは24年3月ごろ。父親によると、当時館長だった男性は「コンプライアンスを重視して指導にあたっています」と説明したという。剣道の最高段位は8段で、当時館長だった男性は限られた剣士が審査を突破する7段だった。
小中学生合同の稽古は週3回。男性のほかにも指導者がいて、父親は指導が「充実している」と感じた。女児も楽しそうに通っていた。
父親によると、24年秋、女児の公式戦での結果が振るわなくなると、男性の指導が「過度に厳しくなった」と感じたという。稽古をしていない時の言葉遣いも、乱暴になったように感じた。
稽古中、後ろからの暴力
事件が起きたのは今年1月11日。子どもたちは面を着けて竹刀で打ち合うグループと、木刀で刀の操作法を学ぶ「形(かた)」をするグループに分かれていた。女児は面を着けたグループだった。
稽古の終盤、別のグループに形の指導をしていた男性が女児に後ろから近づき、頭を後ろから木刀で殴ったとされる。面を着けていたが、木刀の衝撃は大きく、女児はふらついた。吐き気を訴え、帰宅後も様子がおかしく、就寝中にはけいれんの症状が出たという。
女児は翌日、病院を受診。医師から「頭部打撲と脳振盪(しんとう)」と説明された。物忘れがひどくなり、失禁も繰り返したという。事件前はなかった症状といい、医師からは「後遺症の可能性がある」と言われ、「脳振盪後症候群」と診断されたという。女児はいまも通院を続けている。
男性は5月に傷害容疑で書類送検され、8月に暴行罪で略式起訴された。捜査関係者によると、男性は警視庁の調べに事実関係を認め、「腕が正しく上がっていないことを教えるためだった。間違った指導だった」などと供述したという。
東京都剣道連盟は3月、男性…



