
超高齢化や未婚化などを背景に、一人暮らしの高齢者が増えている。しかし、単身の高齢者が民間の賃貸住宅を探そうとすると、孤独死や家賃滞納などの懸念から入居を拒まれることも多い。貸す側の懸念を減らし、住まいを確保しやすくするため、住宅セーフティーネット法などの改正法が10月から施行され、新たな仕組みも始まった。
国土交通省の2021年度の調査では、住宅を貸す側の大家など「賃貸人」の約7割が、高齢者に貸すことに「拒否感がある」と回答。「5年前と比べて拒否感が弱まった」との回答が多かったが、「変わらず拒否感が強い」「強くなっている」も計2割以上あった。
背景にあるのは「孤独死」への不安だ。元気な人でも、突然、体調を崩すこともある。国交省の調査では、高齢者の入居を制限している場合、その理由として約9割が「居室内での死亡事故等への不安」を選んだ。
懸念は孤独死、残置物、滞納…
不動産業者が加盟する全日本不動産協会が2022年に会員に実施したアンケートでも、家主や管理会社に高齢者や障害者の受け入れを拒否された理由で最も多かったのは「孤独死を懸念」で約7割。次いで「親族や身元保証人がいない」の約6割だった(複数回答)。
室内で孤独死が発生し、発見までに時間がたってしまうと、消臭や消毒なども含む特殊清掃が必要となって原状回復費用が多くかかるだけでなく、事故物件として、その後の家賃に影響する、次の入居者が見つからない、といった事態にもつながる。
また、単身の高齢者が亡くなり、頼れる身寄りもいない場合、残された家具や日用品など「残置物」も問題になる。法的には所有権が親族に相続されるため、相続人にあたる親族に連絡し、整理や処分を依頼する必要がある。部屋を借りる権利も相続の対象とされており、賃貸契約の解消にも相続人に手続きをしてもらわなければならない。相続人の存在が不明なら探す必要に迫られ、見つけ出しても協力してくれるとは限らない。
公的年金が目減りするなか、就労などによる一定の収入が期待できない場合、家賃が滞納される恐れも現役世代より高くなる。バリアフリーに対応していない物件では、室内での転倒事故のリスクも懸念される。
10月施行の改正法では、見守りなどと組み合わせることで大家側の不安も軽減できる「居住サポート住宅」制度が創設された。
高齢者や障害者らの部屋探しの相談、生活支援などを行う法人として都道府県が指定する「居住支援法人」などが、大家と連携。ICT(情報通信技術)を使った1日1回の安否確認や、月1回程度の訪問による見守りを提供し、必要な場合は公的な福祉サービスにつなぐ。
■空き家での活用も想定…









