【動画】モーターたんぱく質「キネシン」が細胞内で動くイメージ=廣川信隆さん提供

ノーベル生理学・医学賞は、生命科学の基礎研究から病気の治療まで幅広く対象としている。今年のノーベル賞の発表は、10月5日の生理学・医学賞から始まる。注目されている分野の一つがモーターたんぱく質だ。様々な疾患に関わることがわかり、2025年には国内に患者会も立ち上がった。
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モーターたんぱく質とは細胞内の「運び屋」だ。大型トラックや自動車、バイクなどいろんな乗り物が道路の上を通って人や物を運ぶように、細胞の中にもレールのようなものが張り巡らされ、その上をモーターたんぱく質が通る。
モーターたんぱく質の一つに「キネシン」がある。最初のキネシンの発見は85年に、米国の研究者がイカの神経細胞を使って発見した。
東京大の廣川信隆名誉教授(80)らの研究チームは、細胞の中を急速凍結して観察する方法を開発し、形が違う複数のキネシンがあることに気付いた。1992年に、初めて哺乳類のキネシン5種類を見つけて報告した。
「もっといっぱいあるに違いない。すべて明らかにしよう」と考え、結果的に哺乳類にある45種類のキネシンのほぼすべてを明らかにした。
廣川さんが92年に報告したキネシンの一つ、「KIF1A(キフワンエー)」は神経の細胞ではたらき、神経成長因子の受容体を運んでいる。KIF1Aの一部に変異が起こると、輸送速度が遅くなる。それによって知的障害やてんかんなどの症状が出る可能性がある。
遺伝子検査が広がってきたことで、KIF1Aが原因だと診断される人が増えている。2025年には日本で「KIF1A関連神経疾患家族会(たこやきの会)」が立ち上がった。
廣川さんはKIF1Aの患者会とも面会し、疾患の調査や研究、社会的認知度の向上などに協力したいと伝えた。廣川さんは「我々が遺伝子を見つけて、近年になって診断に結びつき、治療の道も見えてきた。研究者として誇りに思うし、喜ばしい」と話す。
「10万キロを秒速約100メートルでひたすら走る」ようなもの
モーターたんぱく質の大きさ…










