
国立遺伝学研究所(静岡県三島市)でDNAの研究をしていた21年前、模様を彫り抜いた型紙を使って色を染めていく「型染め」の染色作家として生きることを決意した。最先端の科学から、美術・伝統工芸の世界への転身だった。
「やってることは同じなんです。自分が知りたいことを追究する。表現の場が、論文から染めに変わっただけですよ」。富士宮市で工房を構える市場勇太さん(54)はそう話す。
知りたいのは、「生命とは何だろう」ということだ。少年時代に芽生えた素朴な疑問を、今も追い続けている。
気付いた科学の世界の限界
幼い頃から絵を描き、音楽が好きだった。宇宙や命に興味を持ち、小学生の時から海外のSF小説を読みあさった。
美大進学を考えたが、「生命…










