
1月18日付朝日歌壇の入選歌40首をお届けします。選者は永田和宏さん、川野里子さん、佐佐木幸綱さん、高野公彦さんです。
- 【投稿はこちら】朝日歌壇への投稿、ネットからも
永田和宏選
魯迅(ルーシュン)と藤野先生ならび居て視線を受けつつ入る図書館(仙台市)浅川 照夫
「働きて働きて病む秋の暮」仁科芳雄は辞世句遺す(藤枝市)市川 篤
給食費小銭ばかりで持ってきた児童の瞳卒業の朝(吉野川市)喜島 成幸
早世の友の息子よ父さんを肴に呑もうかしぐれ降る夜は(浜松市)久野 茂樹
この電話切ったあときっと姉も泣いているひとりになってしまいしいまを(帯広市)小矢みゆき
過多は駆除稀少は保護と人間の基準で分けられ熊と熊猫(和歌山市)貴志 眞澄
夕焼の金網フェンスに残されてだれも取らないそのカラスウリ(大津市)阪倉 隆行
少しずつ少しずつあともどりしてやがてあやまちくりかえすでしょう(東京都)無京 水彦
もう次はないと思いつまた来るわまた噓ついた最後のウソを(木津川市)山中麒比子
体調を気遣うようなやさしさで次の締め切り催促している(大阪市)加藤 成和
【評】浅川さん、『藤野先生』を書いた魯迅とその恩師藤野厳九郎の胸像が、東北大学図書館に並んでいる。市川さん、日本の現代物理学の父とも言われる仁科芳雄。例の「働いて働いて」からの連想。十首目、私もいつもそんな風に催促される。
川野里子選
針のない時計に針を探しおり…






