
11月3日 皇居で文化勲章親授式
2008年のこの日、文化勲章親授式が皇居・宮殿であり、外国出身で外国籍の初の受章者となった日本文学のドナルド・キーンさんらが当時の天皇陛下(現・上皇さま)から文化勲章を受け取った。11月3日の文化の日に行われる恒例行事だが、式典後の記者会見は、受章者の意外な一面が垣間見えたり、普段は報道陣の取材にあまり応じない著名人の話が聞けたりする、貴重な取材機会となっている。
記者が特に印象に残っているのが、2013年の親授式だ。電子工学の岩崎俊一さん、書家の高木聖鶴(せいかく)さん、日本文学・比較文学の中西進さん、医化学・分子免疫学の本庶(ほんじょ)佑(たすく)さん、そして、映画俳優の高倉健さんの5人が受章した。

皇居・宮殿の「松の間」で、受章者が1人ずつ名前を呼ばれ、上皇さまの前へ。上皇さまから文化勲章を授与され、続けて、少し離れた位置にいる安倍晋三首相(当時)から勲記が渡された。
受章者の代表として、高木さんが「一層精進を重ねる決意でございます」とあいさつし、上皇さまは「長年努力を重ね、大きな業績を収められ、文化の向上に尽くされたことを誠に喜ばしく思います」と声をかけた。受章者はモーニングコートや紋付き羽織袴(はかま)姿で、長身の高倉さんは両手で勲章を受け取る際、唇をきゅっと引き締めたように見えた。
式典の後は、宮内庁庁舎3階の講堂で記者会見が開かれた。芸能・文化担当の同僚からは、高倉さんは自身について語ることに慎重で、取材や会見にはなかなか応じてくれないと聞いていただけに、会見場に高倉さんが姿を見せたときはほっと安堵(あんど)したのを覚えている。
高倉さんが口にしたのは、亡き母への思いだった。
今回の受章を母にどう報告したかと聞かれると、高倉さんは「あまり言いたくありません。すみません」と言葉少なにこたえた。だが、文化勲章受章時に高倉さん自身が公表したコメントにあった、「辛抱ばい」という母からの言葉について質問されると、高倉さんは語り始めた。
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