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2026年11月5日、政府高官とのビデオ会議に臨むロシアのプーチン大統領=ロイター

この社説のポイント

●プーチン大統領が日本たばこ産業(JT)の現地法人をロシア企業の管理下に
●日ロ関係が悪化するなか、日本政府に対ロ政策の変更を迫る狙いも見える
●日本政府は、欧米などと連携して企業の権利を守るよう力を尽くす必要がある

 侵略を続けるロシアへの制裁に対抗し、日本企業の経営権を奪う。日本に対ロ政策の変更を迫る露骨な圧力を許してはならない。

 プーチン大統領が、日本たばこ産業(JT)グループの現地法人4社を一時的にロシア企業の管理下に置く大統領令に署名した。JTはロシアのたばこ市場で最大のシェアを持ち、現地で約4千人を雇用している。

 ロシアは2023年、欧米などによる資産凍結や禁輸といった対ロ制裁に対抗し、外国企業の資産を一時管理下に置く制度を導入した。

 ロシアに制裁を科す「非友好国」の企業の不動産や有価証券をロシア企業が管理する。外国企業の所有権は残るが、経営権は事実上失う。

 ロシアはスイスの食品大手ネスレや仏小売り大手オーシャン、デンマークのビール会社カールスバーグなど30社以上の現地法人に同様の措置を重ねてきた。その多くは管理下に置かれたままだが、ロシア企業への売却を余儀なくされた例もある。

 欧米や日本による経済制裁とロシア側の対抗措置を同列に論じるべきではない。

 日本の制裁は、国際法を無視した侵略を止めるために国際社会と協調して実施したものだ。資産凍結といっても、対象企業の金融取引などを制限する仕組みで、経営権を奪うものではない。

 一方、ロシアは外国企業の事業を管理する権限を自国の企業に移す。JTを対象とした理由も示していない。正当な理由なしに日本企業の権利を侵してはならない。

 今回の措置は、日ロ関係が悪化する中で起きた。8月にプーチン大統領が初めて北方領土の択捉島を訪問。10月2日に日本政府が新たな対ロ制裁を打ち出すと、ロシア外務省は「相応の対抗措置をとる」と言及していた。

 10月中旬、ロシア当局は北海道新聞記者をスパイ容疑で拘束した。根拠が示されないまま勾留が続いている。

 ロシアの一連の動きは、外交や経済、司法など様々な分野で日本への圧力を強めているように見える。

 日本政府はJTの株式の3分の1強を保有するため、今回の措置は日本政府の保有資産にも影響する。ロシアにはウクライナ侵攻後も100社を超える日本企業が拠点を維持している。こうした企業にとっても脅威となる。

 日本政府が即座に抗議してロシアに措置の撤回を求めたのは当然だ。同様の経験を持つ欧米諸国などと連携し、企業の正当な権利を守る手立てを尽くす必要がある。

  • ロシア、JTの現地資産を一時管理下に プーチン氏が大統領令に署名

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