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米国の一流IT企業でシニアソフトウェアエンジニアをしている牛尾剛さん。現在はシアトル在住だ

 集中できない。先延ばししてしまう。やるべきことが頭の中で渋滞してしまう。そんな悩みを抱えていたエンジニアの牛尾剛さんが長年実践してきたのが、「指令書メモ」というシンプルな方法でした。新著『持たざる者の戦略 エンジニアがやっている努力を超えた行動設計』(https://www.amazon.co.jp/dp/402252152X)から、その考え方と実践法を一部抜粋して紹介します。なお、本記事に記載されている見解は、牛尾さん個人のものであり、牛尾さんの所属する会社の公式見解を示すものではありません。

(AERA Books 2026年10月14日の記事を転載します)

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 僕は短期記憶が最悪で、とても気が散りやすい。

 何をやってもめちゃくちゃ効率が悪いし、そもそも、やる気になるまで相当時間がかかる。休日に「これやらなきゃ」と思っていても、スイッチが入るのは夕食の前くらい、でも夕食によってそのスイッチはすぐにオフになって1日が終了、ということもしょっちゅうある。

 そして、何をやっても人の何倍もかかる。

 3倍ぐらい時間をかけても人並みぐらいにしかならない。

 なぜなのか、どうしてこんなふうに時間を無駄にしてしまうのか。

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勉強もスポーツも苦手で、努力しても結果が出ず、自分を「ポンコツ」と呼ぶしかなかったという牛尾剛さん。それでも、40代から英語を学び、米国の一流IT企業で働く夢を実現した

 長年悩んでいたが、医師からADHDだと診断され、処方された薬をのんだだけで、すべてが(一時的にだが)解決した。これが普通の人の感覚なんだと衝撃を受けた。

 ADHDとひとことで言っても、みんな僕のようなわけではなく、困りごとも人それぞれのようだ。だから、ここから書くのはすべてのADHDの特性がある人に有効なメソッドではない。

 ただ、集中力が頻繁に途切れたり、やるべきことを先延ばしにしてしまったりする人には、かなりお役に立てると思うので、書いてみたい。

作業を始める前にやることを書いてから手を付ける

 まず、何よりおすすめしたいのは、僕にとってはとても有効な方法だ。

 実際に作業を始める前に、必ず紙、もしくはOneNoteなどのソフトウェアのツールに、やることを書いてから手を付けることだ。

 これを自分への指令書メモと呼ぶ。今から自分が何をするのかを具体的に箇条書きにして、あとはそこに書かれた通りに作業をする。それだけだ。

 アホみたいに単純だが、もう何年もやっておりめちゃくちゃ有効だ。

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米国の一流IT企業のエンジニア・牛尾剛さんによる書籍『持たざる者の戦略 エンジニアがやっている努力を超えた行動設計』が話題

 特に仕事に関しては、指令書メモが欠かせない。

 どんなに忙しくても、むしろ忙しいときほど、絶対に指令書メモから仕事を始める。

 僕はとても気が散りやすいので、普通にやると、すぐに違うことが気になってしまう。だけどこの指令書メモがあれば、違うことに気が散ってもすぐに元の位置に戻ってこられる。

 この指令書メモなしにいきなり作業をやりだすと、「あれどうだったっけ」「それはどうだったっけ」と他のことが気になって、せっかく着手した作業がはかどらない。

 だから「どうだったっけ」を排除するためにも、指令書メモがある。

 このやり方は、自分をどう動かすかをプログラミングしているかのようだ。

マルチタスクをせず小さなことにフォーカス

 こうして「やるべきこと」を可視化して、忘れているわけではなく、「今はやっていないだけという状態にする」だけで、目の前の仕事に集中しやすくなる。

 また、指令書メモとして書いてから作業をすることで、そのタスクを一つずつこなすことになるので、マルチタスクをしなくなり一つの小さなことにフォーカスできる。

 他にやるべきことはすでにOneNoteに書いてある。だから忘れる心配がない。

 忘れる心配がないから、気にしなくていい。

 気にしなくていいから、目の前の一つに集中できる。

 これは狙っていなかった、なかなか嬉(うれ)しい副次効果だ。

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牛尾剛(うしお・つよし)さん略歴

 1971年、大阪府生まれ。米マイクロソフトAzure Functionsプロダクトチームシニアソフトウェアエンジニア。シアトル在住。関西大学卒業後、大手SIerでITエンジニアとなり、2009年に独立。アジャイル、DevOpsのコンサルタントとして数多くのコンサルティングや講演を手掛けてきた。15年、米マイクロソフトに入社。エバンジェリストとしての活躍を経て、19年より米国本社でAzure Functionsの開発に従事する。著書に『世界一流エンジニアの思考法』『部下としてのAI』(いずれも文藝春秋)などがある。

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『持たざる者の戦略 エンジニアがやっている努力を超えた行動設計』(牛尾剛著、朝日新聞出版刊)

『持たざる者の戦略 エンジニアがやっている努力を超えた行動設計』(牛尾剛著、朝日新聞出版刊)

才能のない自分が、なぜシアトルのMicrosoft本社でエンジニアになれたのか? それは能力ではなく「愚直な実行」と「仕組み化」だった。努力は根性ではなく設計するもの。散漫な脳を武器にする……人生を変える凡人逆転の全技術。

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