
論説委員コラム「序破急」
高市早苗首相が対中外交でつまずいて1年になる。ことのはじまりは、1枚のオフショット写真だった。
2025年10月31日、韓国・慶州でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議前の控室で撮影した写真を高市氏は、SNSに投稿した。中国の習近平(シーチンピン)国家主席と笑顔で向き合っている。この発信を習氏は事前に承知していたのか。「台湾有事」をめぐる国会答弁は、7日後のことである。

日中首脳のツーショットで記憶に刻まれている習氏の表情は、14年の北京APECでの仏頂面だ。日中首脳会談の冒頭。安倍晋三首相のあきらめ顔が懐かしい。慶州でも報道陣の前で高市氏と握手する習氏の表情は硬かった。

中国外務省報道官が日本について語るときは、こわもてが定番だ。秦剛前外相が副報道局長だった20年ほど前。記者会見での彼の険しい表情が日本社会の対中感情を悪くしていると感じ、「たまには笑顔で話してみては」と持ちかけたことがある。「笑えるわけがない」とむきになって反論された。
上司の報道局長は、輪をかけ…
