
「父と娘」 なぜ娘は父を避けるのか(6)
この連載は、取材した記者である僕(59)が娘2人とうまくいかなくなったのはなぜか、考えたいと思ったのがきっかけだ。28歳と23歳。娘2人はともに社会人で、1人は僕と同居している。だが日常的な会話は、ほぼゼロだ。妻を通して会話することが多い。
もちろん私的なことだけではない。2024年6月に朝日新聞デジタル版で「父と娘の近くて遠い関係、どう接したらいい? 心理学者に聞く」という記事を配信すると、多くの方々が関心をもって読んでくれた。インタビューした奥野雅子・岩手大学名誉教授(家族心理学)によれば、「父娘関係は、親子関係四つのなかで心理的距離(親しさの程度)が一番遠い」ということも知った。「父と娘」が、家族関係を考える上で重要なテーマだと認識するようになり、今回の連載につながった。
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連載で取り上げた愛知の男性(第1回)と埼玉の男性(第3回)の話を聞く中で、身にしみる場面が何度かあった。
2人とも、娘との実質的な会話はゼロ。「たわいもない話をしている娘とお父さんを見ると、うらやましい」「ちょっとした世間話や雑談ができれば」。全く僕と同じ思いだった。
連載第2回に登場した水本深喜・松蔭大学准教授に、この2人の事例について伝え、コメントをもらった。「あくまで推測になりますが」と前置きした上で、愛知の男性については「娘はいまは母親と密着して味方をしているが、もう少し成長すれば、母親の視点からではなく自分自身の視点で、父親を見られるようになるかもしれません。すると、父親との関係も変化してくるのではないでしょうか」と話す。
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埼玉の男性については「もしかすると謝り方が悪かったのかもしれません。『お前のためを思って~』は本音だと思いますが、それだと自己弁護になってしまう。シンプルに『傷つけてしまってごめんね』でいい。年数が経った今からでも、改めて謝罪して娘さんの気持ちに耳を傾けてみてはいかがでしょうか? 親子関係の修復は、何歳になってもできると思います」と語った。
一方、第5回で紹介した大阪の男性の話は参考になった。
娘と遊ぶときは全力で遊ぶ。ある程度成長した段階で、勉強する意味などを言語化して伝え続ける。やはり、言葉は大事だと思う。自分自身を振り返ると、あまりできていなかった。
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僕は長女が生まれたころ、強迫性障害というメンタル疾患に苦しんでおり、なかなか外で遊ぶことができなかった。でも数年後には状態も改善し、ある程度遊べるようになった。6歳離れた次女が生まれた後は、2人で時々公園やプールに出かけた。取材で親しくなった人たちとの会食に連れていったこともある。
不十分だった幼少期のアタッチメント
でも今振り返ると、十分では…
