
将来のために貯金したいけど、日々物欲も刺激されてしまう。人生から切り離すことができないお金をどう使い、どうためたらいいのか。お金や節約を通して、自らの人生と向き合う家族小説「三千円の使いかた」を書いた作家の原田ひ香さんに、尽きることがないお金にまつわる悩みについて聞いた。
細かなお金の話を軸に
――ミリオンセラーになった小説では、ちょっとしたお金で何を買ったり、選んだりするのか。そこに人が表れるし、その選択が人生を形作っていくんだ、ということが描かれていますね。
読者は、40~70代くらいの女性が圧倒的に多いです。あまり人とお金の話をしない世代ですよね。それに、お金の話を書いた小説って、マネーロンダリングとか、企業買収といったスケールの大きい話が多かった。細かい金額のことを書くというのは、ブルーオーシャンでした。
人の台所事情って分からなかったから、新鮮だったという感想をたくさんいただきました。それが人気の理由かなと思っています。
――話しにくいお金のことを書こうという狙いがあったのですか。
当時はどちらかといえば、家族小説として書いて、そこに軸としてお金があるというイメージでした。
小説やドラマに出てくる主婦といえば、不倫しているか、殺人を犯すかばかりだったんですよ。インターネットで見かける主婦も、基本的に夫の不満なんかを書き込んでいて。だけど、主婦雑誌に登場する人たちは、素敵な旦那さんやお子さんがいて、ちゃんと節約をしているけれど、お部屋もきれいで幸せそうでした。こういう人を小説に出すためには、お金を軸にすればいいのではと考えました。
コロナ禍で変わったお金の使い方
――ほかにも「財布は踊る」など、お金にまつわる作品をたくさん書かれています。普段から、お金に関する相談や話を聞くことも多いのでは。
ここ半年ほどは「お金の使い方」を聞かれることが増えていますね。みなさん節約にちょっと疲れているのかもしれません。切り詰めてばかりではなく、使いたい。ただし、使うなら失敗したくないし、賢く使いたいということのようです。
――どうして変わってきたのでしょうか。
新型コロナウイルスの流行も…






