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映画「市街戦のジャズメン 作家佐藤泰志の衝撃」の公式サイトから=タキオンジャパン提供

 生の輝きを刻み続けた作家・佐藤泰志(1949―90)が、北海道函館西高校3年で書いた短編小説「市街戦のジャズメン」の誕生秘話を描いた映画ができた。中高生対象の文学賞で最優秀賞の授賞は見送られたが、卒業間際に本作で文芸誌デビューを飾った背景を、恩師や友人らの証言や再現ドラマでたどった。

 佐藤は芥川賞候補に5回なりながら落選し、41歳で命を絶った。没後35年の命日の10日、出身地である函館市のミニシアター・シネマアイリスで、「市街戦のジャズメン 作家佐藤泰志の衝撃」の上映が始まった。あいさつをした映画監督の稲塚秀孝さん(75)は、「今の高校生に見てもらいたい」と感慨深げに語った。

 佐藤は、ベトナム戦争に反対する学生が警官隊と衝突し死亡した1967年10月の羽田闘争に触発され、その直後に一気に「市街戦の中のジャズ・メン」を書き上げた。同年11月発表の第5回有島青少年文芸賞で優秀賞(最優秀賞は該当なし)に入ったが、主催の北海道新聞には他の優秀賞作が掲載された。

 選評では「最優秀作であるという強い意見が『有島青少年文芸賞』の性格からいって、ためらわれたのが惜しい。いずれ何かの形で発表さるべきだと支持した意見のあったことを付記して作者を慰める」とされた。実際、審査員らが創刊したばかりの総合文芸誌「北方文芸」68年3月号に改題・改稿して掲載された。

 当時、北海道苫小牧東高校2年だった稲塚さんは同じ回に応募し、佳作に選ばれていた。「ジャズメンは新聞掲載されなかったので気になっていた。文芸誌で読んで衝撃を受けた」

 稲塚さんはドキュメンタリー映画制作の道を進み、ライフワークとなる、広島と長崎の両方で被爆した人たちを追った「二重被爆」シリーズなどを発表してきた。2013年には、佐藤の生き様に迫った「書くことの重さ 作家佐藤泰志」(語り 仲代達矢)を作った。

 「ジャズメン」を書く前、2度の停学処分を経験した佐藤は、鋭敏で繊細な感受性で同時代の事件に反応した。稲塚さんは、今回の再現ドラマでその感受性を表現しようと、あえてオーディションで選んだ函館西高の生徒たちに佐藤やその友人たちを演じてもらった。

 「学生運動があった時代と今とでは高校生の関心の向かう先は違っても、将来への漠然とした不安や、希望や夢を持っているのは共通している。だからこそ、どう感じ取ってもらえるか、楽しみなのです」

 シネマアイリスでの上映は16日まで。その後は北海道苫小牧市のシネマトーラスで11月1~7日、札幌市教育文化会館で12月20日など。問い合わせは稲塚さん(090・3433・6644)。

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