
朝日歌壇 短歌時評 山崎聡子
歌壇俳壇面で毎月掲載している歌人・山崎聡子さんによる「短歌時評」。今月は、高島裕と瀬口真司の作品を取り上げ、戦前と地続の日本の姿を示すような歌が詠まれる背景について論じます。
遠つ代(よ)の冥(くら)きより曳くひとすぢの白光(びやくくわう) かけがへなき國體(アイデンティティー)
昨年、夫婦別姓を支持する人や性的少数者を「紊乱(びんらん)者」と表現し、「國體(アイデンティティー)」の復古を求めた高島裕の連作「アイデンティティー」が物議を醸した。作品論を離れてその思想が批判を浴びた本作だが、この作品が描かれた背景には、ナショナリズムが高揚し、多様性の否定に向かいかねない現代日本の潮流があることは否定できないだろう。
そんな潮流のカウンターになりうるのが瀬口真司の歌集『BEAM』だ。
二十三区の夜景の黒い本丸よ・何度もジャングルを生き延びて
国民の再―統合の再―想像 SPACE MOTHERSHIP が WARP
一九九四年生まれの瀬口は…






