長らく海外生活が続いていたユキさん一家。母子での帰国後、子どもたちと毎年一緒に花見をしているそう。「『年に一回、子どもたちとの花見ができなくなるほど忙しくなってしまったら仕事は辞めよう』とずっと思いながらここまで来ました」=ユキさん提供

小中学校の不登校児童生徒数は2024年度には約35万4千人となっており、12年連続で増加しています。不登校になった子どものサポートをするため、働き方の変更を迫られる親もいます。なかには、在宅勤務など柔軟な働き方ができたことで「キャリアを諦めずに済んだ」と語る人もいます。

夏休み明け、不登校になった中1

子どもの不登校をきっかけに、在宅勤務中心の働き方に変えたのは、大学2年生と、高校2年生の子どもがいるユキさん(53)です。

5年前、当時中学1年生だった次男が不登校になりました。

夫の海外駐在に帯同するため、次男の小学校卒業までは海外で生活していましたが、次男の中学進学に合わせて夫を残して母子で帰国しました。

次男は当初、日本の学校特有の上級生との関係や、教職員からの指導方法に戸惑っている様子はあったものの、1学期の間は順調に登校していました。

ところが夏休み明け、宿題を終えられなかったことをきっかけに、体調不良を訴えるようになって、学校に行けなくなったといいます。

「(次男の)お兄ちゃんは全寮制の学校に行き、夫はまだ海外赴任中。急に私とふたりきりになり、かなりの環境変化でストレスがあったんだと思います」

ユキさんの次男は中学1年の夏休み明けに体調不良を訴えました。写真はイメージです=Kobayanski/stock.adobe.com

17年ぶりに働き始められたばかり

一方のユキさんは、帰国にあわせて苦労して見つけた17年ぶりの就職先で、5月末からパートタイムの仕事を始めていました。

夏休み明け、次男が学校に行けなくなってからも、職場の理解を得て働き続けていましたが、基本的には固定された時間での出社が必須でした。

任される業務も徐々に増えると、退社時間はどんどん遅くなり、雇用形態もパートタイムから契約社員に変わりました。

「仕事の勘も戻ってきて楽しくなってきた」と振り返りますが、次男は、年が明けても安定して学校に行けませんでした。ユキさんは次男の送迎をはじめとした家族のケアを一手に担いつつ、仕事を続けることが難しくなっていきました。

  • 【連載】不登校 そのとき親は

転職してキャリア継続

キャリアを重ねたいという思いと同時に、次男ともしっかり向き合いたいと考えたユキさん。

「これまで専業主婦として17年子どもたちに向き合ってきました。仕事をしていても、できるだけこれまでと同じ姿勢でいたかった」

そこで、考えたのが在宅勤務とフレックスタイムを使って働ける会社への転職でした。

フレックスや在宅で働ける環境があれば、学校から「次男を迎えに来て」と連絡がきたり、次男が「行きたくない」と言ったりしても対応できる――。

ほどなく、ユキさんが希望していた職種で、希望条件に合う会社に就職することができ、ユキさんは「運と縁としか言いようがない」と語ります。

不登校の次男に寄りそうため、ユキさんは在宅やフレックス勤務ができる会社への転職を決意しました。写真はイメージです=webbiz/stock.adobe.com

現在、次男は高校2年生。高校進学後、毎日学校に通う生活になったといいます。「朝、元気に登校する後ろ姿を見ると、これまでのことを思い出して泣きそうになります」

ユキさんは「在宅やフレックスタイムでの働き方があればどれだけの人がキャリアを諦めずに済むか企業にも知ってほしい。いまの働き方ができていることで、私は何度も諦めかけたキャリアを手放さずに済んでいます」と話します。

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不登校対応と仕事の両立「難しい」8割超

9月から10月にかけて、しゅふJOB総研が働く主婦・主夫265人に「子どもが不登校になった場合の仕事との両立について、どんな印象を持つか」を聞くと、半数を超える52.8%が「とても難しい」、32.8%が「どちらかといえば難しい」と答え、合計85.6%が「難しい」という印象を持っているという結果になりました。

一方で、子どもが不登校になったとき「在宅勤務ができれば仕事と両立しやすくなると思うか」という問いには、68.3%が「思う」と答えました。

総研の研究顧問・川上敬太郎さんは「在宅勤務や短時間勤務など、柔軟性の高い環境を職場が提供できるかどうかで、仕事の続けやすさは大きく変わってきます」と指摘しています。

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