コロナ禍で音楽教室を開けなくなった楽器店。思いついたのが、ピアノを華やかに装う「ラッピング」だった。そのデザインを、学校に行きづらさを抱える子どもに描いてもらったらどうだろう。街角ピアノとしてたくさんの人に弾いてもらえたら、自信や希望につながるかもしれない。
滋賀県高島市の楽器店「トリイ」。世界がコロナ禍に見舞われた2020年、事業の柱である音楽教室を休まざるを得なくなった。難局をどう乗り切るか。社員十数人の会議でさまざまなアイデアが出される中、女性社員がぼそりとつぶやいた。
「カラーバリエーションのあるピアノがあったら売れるのでは」
黒色や茶色。店内に並ぶのは定番の色のピアノたちだ。「いいね!」とみんなが声を上げた。鳥居保典社長(47)はラッピングを思いついた。滋賀県内を走る京阪電車のラッピングを手がける市内の広告会社「アルファデザイン」の小島優樹社長に相談すると、「やってみましょう」と試作を引き受けてくれた。
デザインのデータを取り込み、特殊なフィルムに印刷。ピアノの本体や脚に貼り付けていく。重厚感のあるピアノが、カジュアルで華やかな雰囲気に一変した。

20年10月、「WRAPI(ラピ)」と名付けて事業化すると、全国各地から注文が入るようになった。
茨城県筑西市。JR下館駅に…














