
「将来の夢:走り屋になる」
谷津祐哉さん(36)は中1のとき、自己紹介文にそう書いた。
当時ハマっていたのが、漫画の「頭文字D(イニシャルディー)」。
公道レースで競い合う主人公たちを見ながら、「走り屋」という職業があるのだと思っていた。
その自己紹介文は1年間、教室の後方に貼られていた。
だから、生徒だけでなく、若い女性の担任の先生も当然、そのことを知っていた。
2年生になってクラス替えがあったが、担任は同じ先生。
だが、2学期を終えたところで担任が交代することになる。
先生が妊娠し、産休に入ることになったのだ。
全員に本を贈ってくれた
産休前の最後のクラスルーム。
先生は、生徒全員に手紙と本を配った。
40人近くいた生徒それぞれに合う本を選び、自腹で買ってくれたのだ。
先生の口癖は「一生懸命に一生懸命応える」。
いかにも先生らしかった。
受け取った谷津さんは自宅に帰って、まずは手紙を読んだ。
そこには、こんなことが書かれていた。
「谷津君が『ぼくは将来走り屋になりたいです』と言ったんですが、覚えていますか?」
「わたしは『コイツいったい…

